出版社内容情報
昭和64年に起きたD県警史上最悪の事件を巡り警務部と刑事部が全面戦争に突入。その狭間に落ちた広報官・三上は己の真を問われる。
二〇一二年のミステリー二冠! 究極の警察小説登場!
昭和64年に起きたD県警史上最悪の事件を巡り警務部と刑事部が全面戦争に突入。その狭間に落ちた広報官・三上は己の真を問われる。
内容説明
元刑事で一人娘が失踪中のD県警広報官・三上義信。記者クラブと匿名問題で揉める中、“昭和64年”に起きたD県警史上最悪の翔子ちゃん誘拐殺人事件への警察庁長官視察が決定する。だが被害者遺族からは拒絶され、刑事部からは猛反発をくらう。組織と個人の相克を息詰まる緊張感で描き、ミステリ界を席巻した著者の渾身作。
著者等紹介
横山秀夫[ヨコヤマヒデオ]
1957年東京生まれ。国際商科大学(現・東京国際大学)卒業後、上毛新聞社に入社。12年間の記者生活を経てフリーライターとなる。91年「ルパンの消息」が第9回サントリーミステリー大賞佳作に選ばれる。98年「陰の季節」で第5回松本清張賞を受賞。2000年「動機」で第53回日本推理作家協会賞・短編部門を受賞する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
973
著者作品は『半落ち』以来。新作出たのを機に超有名作を手にとった。上巻では、まだ様々な筋が拡散し続けている状態で、収斂の気配は全くない。三上の娘の失踪がどこまで本流に絡んでくるかが気になるところ。誘拐殺人が描かれることで、警察小説の体裁も維持はしており、その観点からも、もちろん充分面白い。しかし、それに留まらないのは、警察組織を舞台とした企業小説としてのたしかな読みごたえがあるからだろう。警察の広報担当としての四苦八苦の様が、すごく引き付けられる。記者クラブ対応を、ここまで読ませることがすごい。2019/03/30
れみ
387
刑事一筋だった主人公の三上が不本意ながら県警の広報官となり記者クラブとの関係悪化に苦慮するなか、刑事部と警務部の対立、そしてかつて三上も捜査に加わった昭和64年の誘拐事件(通称ロクヨン)に隠された真実に行き当たる…というお話。映画前編見てからの読了。映画でなんとなく理解してた権力争い的なものや重要なメモの内容のこととか…原作ではすごくぎっしりと書かれていて、これは大変なことになるぞ…とゾクゾクしてくる。下巻読むのが怖い気もする反面楽しみでもある。2016/06/11
マ・クベ
357
家出、誘拐、匿名報道、長官、いくつのも謎か解明されてきたが、これが今後どうのように繋がっていくかが楽しみです。下巻は、一気読みかな?2015/04/05
yoshida
319
思わず唸らせられる面白さ。上巻の中盤からぐいぐい読ませる。「64」とは昭和64年にD県で起きた、未解決の幼女誘拐殺人事件。そこにはD県警の事件時の行動が封印されていた。危うい封印。幾人の人生を変えたD県警の「64」での行動。主人公の三上は元刑事の広報官。家庭では実の娘の失踪を抱えながら、記者クラブと戦い、警察組織内の軋轢に苦しむ。本作では二渡が対極で動くライバルとして描かれる。人間の苦悩、焦燥感が実によく描かれている。濃厚な内容ながらも、早く下巻が読みたくなる。安定の面白さ。さすが横山秀夫氏作品。2015/04/11
あすなろ
307
刑事部対警務部の闘い。それに主人公の心の葛藤が加わる。更に様々な心理描写が重なる。昭和64年の未解決事件だけではない深み。横山氏作品は久しぶり。以前、看守眼という短編集の中の県庁を描いた作品で、その圧倒的な心理描写に感銘を受けた覚えがあるが、本作ではそれが長編全編通して描かれていると感じる。圧倒的な心理描写に背を押され、小生の感想も下巻にて。オススメ頂きましたアクエリアスさん。ありがとう!2015/06/13