出版社内容情報
老年の孫権はもはや英明な君主ではない。諫言を呈する臣下をみな誅殺し呉を弱めた。魏では曹爽一派を族滅し司馬氏が権力を握る。
宮城谷三国志、次の時代へ動き出す
老年の孫権はもはや英明な君主ではない。諫言を呈する臣下をみな誅殺し呉を弱めた。魏では曹爽一派を族滅し司馬氏が権力を握る。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
k5
62
司馬氏による権力簒奪と、呉の衰退がテーマかな、と思います。1、2巻の頃もそうでしたが、宮城谷さんの関心というのは王朝の運命を描くことにあるのかと思われ、戦場で武功を立てる臣下たちを描くよりか、君主とそれを輔弼する存在に面白さがあるのかと思います。2025/04/10
スター
49
この巻も、良き。若い頃は大臣の忠告にも良く耳を傾けていた呉の皇帝孫権だが、老年を迎え、大臣の忠告を嫌がるようになり、良臣を粛清するようになる。 また魏でも、司馬懿と曹爽の間で政争が始まった。 五丈原以降の展開は全く知らなかったので、新鮮な気分で読了。 諸葛亮の甥が、呉の国で出世していたのも知らなかった。2019/12/06
Book & Travel
44
三国とも国内の主導権を巡る内乱がメイン。魏は司馬懿が周到な準備の末に政権を奪い司馬氏の時代へ。後を継ぐ司馬師も有能だが粛清も多く、この一族はどうも冷たい印象を受けてしまう。呉は孫権が死去し諸葛恪が実権を握るが、こちらも血生臭い政変に。それにしても謀叛の度に関係者三族が皆殺しとなるのは暗鬱な気持ちになる。諸葛氏や夏侯氏といった名族の末裔が没落するのも切ない。ただ演義ではあまり書かれない時代だけに初めて知る興味深い話も多く、皇帝が力を失う中、大きな権力を前にした様々な人物の姿は読み応えがあった。さあ最終巻へ。2022/09/07
ジュール リブレ
44
長旅も、もう少しのところまで来ました。三国志とは、三国が成立するところまでではなくて、その終わりまでを描いていくものだ、という宮城谷翁の意思が、とても強く現れている。司馬王朝の晋の国が成立するところまでなのだろうか、巻末に着く付録の呉の滅亡の記録が、何か寂しさを増幅させる。乱世が終わって戦が収まったというのに、平静を楽しむことなく衰えていく三国の王朝。これもまた宿命なのか。2019/09/26
Die-Go
43
図書館本。衰えていく孫権。判断も曖昧になり、且つ独善的になっていく。呉の国力の低下は止めることができない。 魏では、司馬懿が逝く。しかし、その業は確実に子に受け継がれていく。そのため、快く思わないものも出てき、策謀渦巻く朝廷となってしまっている。 蜀でも、力ある官僚が次々と亡くなり、国力を上げることができない。姜維の存在感はまだ今一つ。★★★★☆2022/05/16