出版社内容情報
女優、OL、キャバ嬢、資産家令嬢。四人の女が耽溺する美容整形の世界を極限まで描き、女の心模様に震撼する長編傑作。
顔にメスを入れるうち――美と恐怖の異色作
女優、OL、キャバクラ嬢、資産家令嬢。美容外科医に通う四人の「美」の追求はついに、禁断の領域にまで―ー女性の欲望を極限まで描いて震撼とさせる、異色長編。
内容説明
華やかな美貌で売る女優、出産前の身体に戻りたい主婦、完璧な男との結婚をねらうキャバ嬢、そして、独自の美を求め続ける資産家令嬢。美容整形に通い詰める四人はやがて「触れてはならない何か」に近づいてゆく―。終わりなき欲望を解き放った女たちが踏み込んだ戦慄の風景を、深くリアルに描く傑作長編!
著者等紹介
唯川恵[ユイカワケイ]
1955年、金沢市生まれ。銀行勤務等を経て、84年「海色の午後」で第3回コバルト・ノベル大賞を受賞し、作家デビュー。2002年「肩ごしの恋人」で第126回直木賞受賞。08年「愛に似たもの」で第21回柴田錬三郎賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
相田うえお
132
★★★☆☆18108 美容整形モチーフということで百田尚樹さんの『モンスター』と無意識に重ねてしまいました。モンスターも凄かったけど本作品も強烈!なんてったってモンスターが次々と出現するので落ち着いて読んでられないんです「え"〜っ!ひー!う"お"ぉー!」の連続ですよ。整形は手立てのひとつの選択肢だと思うので、当方は否定もしなければ肯定もしないし中立意見でもない、極普通の事で当たり前イメージ。本人が満足して周りが不快じゃなければいいんじゃない?って感じ。ま、本作の方々みたいに 度を超さなければですが。。2018/12/09
アッシュ姉
92
美に取り憑かれた四人の女性。若さと美しさを追い求め、競うように美容整形を繰り返す。綺麗になれば何でも叶うと思い込んでいるが、満たされるのは一瞬ですぐに枯渇し、女たちの欲求は止まる所を知らない。もっと綺麗になりたい、美しさを維持しなければならないという強迫観念と欲望への執着が凄まじく、常軌を逸したオーダーに無理難題を吹っかけて、医師の忠告はまるで耳に入らない。危険な整形依存に陥った女たちの振る舞いはまさしくホラー。ラストは思わず二度読み。とてつもなく恐ろしく、とても面白かった。2018/03/19
mmts(マミタス)
91
テーマは美容整形。整形手術に取り憑かれた女性たちとそんなワガママを受け入れる医師。美容整形をする女性たちが悪いのか。いや、美容整形を施している医師が悪いのか。むしろ、誰も悪くないのか。答えが分からない。美容外科クリニックの多田村晶世のところには際限のない女性たちがあらわれた。女優の西嶋條子、編集者の吉岡多岐江、キャバクラ嬢の沢下莉子、お嬢さまの畑中涼香だった。彼女たちは正気の沙汰ではない整形依存症だった。常に醜形恐怖症に悩まされていた。個人的には唯川恵さんの中では一番に面白い。テティスにはかなわないな。2017/12/30
yuyu
87
これはまさにホラーだ。背筋が凍るような読後感。女は怖い。美容整形に翻弄される女達。ある程度大袈裟に表現されているとはいえ、現実も近いものがあるのだろう。「美」を追求するということは、「美」に縛られてしまうことなのか。作られた美しさはどこか物悲しい。でも、その美しさに縋り付いてしまう気持ちもわからないではないけど…うーん、やっぱり、怖くて、虚しい。2018/12/26
優希
83
美容整形に依存する4人の女性の物語です。限りなく美を追求していく姿が逆に醜く見えておぞましさすら感じました。美を極めようと思い詰めるとここまで堕ちていくのかと鳥肌が立ちます。美への執着が周囲を見えなくさせ、自己中心的になるのはまるでモンスターのようでした。欲深さから道を踏み外して壊れていくのが整形を突き詰める怖さなのでしょう。整形の陰の部分を鮮烈に描いたのが恐ろしかったです。2014/10/30