出版社内容情報
田舎行きに戸惑い、夫とすれ違い、子育てに迷い、恋に胸を騒がせる。じんわりと胸にしみてゆく、愛おしい「普通の私」の物語。
ゆるやかに変わってゆく。私も家族も。
田舎行きに戸惑い、夫とすれ違い、子育てに迷い、恋に胸を騒がせる。じんわりと胸にしみてゆく、愛おしい「普通の私」の物語。
内容説明
東京から夫の故郷に移り住むことになった梨々子。田舎行きに戸惑い、夫とすれ違い、恋に胸を騒がせ、変わってゆく子供たちの成長に驚き―三十歳から四十歳、「何者でもない」等身大の女性の十年間を二年刻みの定点観測のように丁寧に描き出す。じんわりと胸にしみてゆく、いとおしい「普通の私」の物語。
著者等紹介
宮下奈都[ミヤシタナツ]
1967年福井県生まれ。上智大学文学部卒。2004年「静かな雨」で文學界新人賞佳作入選。2007年初の単行本『スコーレNo.4』が話題を呼ぶ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ミカママ
527
宮下さんの、お子さんを連れての田舎暮らしの体験が活かされているのであろう作品。主人公梨々子のテンポが妙にわたしのソレに合って、一気に読了してしまった。マウンティングしてくる女友だち、くたびれていく夫、思うようにならない子育てなどなどに疲れているあなた、ぜひご一読を。必ず一筋の光が射すはず。2019/07/16
SJW
234
夫の鬱病で東京から夫の故郷へ引っ越しすることになった梨々子が、田舎に行くことに戸惑い、夫とすれ違う。また劣等感や都落ちへの絶望感で新しい場所に拒絶する。地域や家族への不安や不満で現実逃避に走るが、息子たちがきっかけで家族や地域との繋がりを取り戻していく再生のストーリー。このようなプライドが高すぎて悩む人は回りにはいないと思っていたが、辻村さんの解説では梨々子の気持ちに寄り添うと書かれていたので意外だった。プライドなんて早くから捨てていればもっと早く楽になって幸せだったろうにと考えてしまう。(続く)2018/07/25
さてさて
186
この作品が偶然にも初めての宮下さんという方の中には、自分とは合わないと判断される可能性があり、それが一番もったいない、と思います。逆にこの作品で宮下さんが好きになった方は、他の作品を読むとあまりの雰囲気感の違いに驚くとは思いますが、感情の揺れ、細やかな心の動きを丁寧に描いていく筆致は他の作品でも共通です。そんな読者の一人である私の評価は◎。宮下さんの作品の本流では決してないと思いますが、とても強いインパクトを受けた、読み応え十分の作品でした。 2020/10/25
おしゃべりメガネ
185
夫が鬱になり、やむなく退職し夫の故郷へ東京から移り住むコトになった妻「梨々子」の30歳から40歳までの'主婦'クロニクルです。息子が二人いて、どちらもちょっとワケありな感じですが、そんな環境においてもとにかくくじけない彼女の姿にひたすら敬服します。2年ごとに綴られてく展開も、変化がおもしろく、ステキな歳の重ね方だなぁと思わせてくれます。最初の頃は何に対しても頑ななスタイルだった彼女が年齢を重ねるたびに'タフ'になっていく姿はある意味痛快です。お母さんのコトをしっかりと見ている息子二人に涙が溢れました。2020/02/11
黒瀬
169
【なんだ、うつだってうれしいのね】妻、母、あるいは……。何者かになろうとした一人の女性が求めることを卒業するまでの十年間を丁寧に描いた「普通の私」の物語。惚れて結婚したはずの夫が鬱になり、東京から彼の田舎へ移り住むことになった梨々子。二人の子どもを抱え、夫とすれ違い、束の間の火遊びにも手を出す。私の居場所はここじゃない。だとしたらどこなの。当たり前、普通、自由ってなんだ。人なら誰しもが疑問に思うような問題を予行演習のように提示し、あとに続く者たちの道しるべとなるような光を感じる作品でした。2021/01/13