出版社内容情報
呪いがかつてなく蔓延する時代に、その起源と心身の「魔境」のメカニズムを徹底解剖。オウムの禁断の性技法を白日の下に晒す異端書。
呪いのエネルギーを侮ってはならない
呪いがかつてなく蔓延する時代に、その起源と心身の「魔境」のメカニズムを徹底解剖。オウムの禁断の性技法を白日の下に晒す異端書。
内容説明
かつてなく呪いが増殖する時代に、現代人の心の最深部を解き明かす。酒鬼薔薇聖斗やオウム真理教の信者たちが陥った「魔境」とは何だったのか?呪殺の歴史から神秘体験をもたらす麻原彰晃の性の身体技法まで、魔境の本質をえぐり出す。自ら激しい修行を重ねた著者が体験的に解き明かす、前人未踏の異端書。
目次
序章 麻原彰晃と魔境と霊的暴力
第1章 呪いと脱呪い
第2章 鬼と魔
第3章 魔境と神秘体験と性
第4章 呪殺と魔と霊性
終章 魔境的現代と魔境的国家を超えて
対談 「最終解脱者の犯罪―日本人の心の針路を問う」
著者等紹介
鎌田東二[カマタトウジ]
1951年、徳島県生まれ。國學院大學大学院文学研究科博士課程神道学専攻修了。宗教哲学者、神道ソングライター。NPO法人東京自由大学理事長。京都大学こころの未来研究センター教授。国際日本文化研究センター共同研究員・客員助教授、ダブリン大学ケルティック・スタディーズ客員研究員、京都造形芸術大学芸術学部教授などを経て現職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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夜間飛行
42
著者は「即」道が開けるという身体技法や超能力の危うさを指摘し、大拙の辿ったスウェーデンボルグ・親鸞・禅という道筋にも正邪紙一重の危うさがあると訴える。宗教においていったん否定=審神(さにわ)する事には大きな意味があるらしい。そもそも釈迦やイエスでさえ「魔」を見、「魔」に試されたのだから、普通の人が「魔」に会わずして悟れる筈がない。生・老・病・死のあるのが人生だとしたら、それを見たくない知りたくない気持につけ込むのが「魔」ではなかろうか。凡人である私は、見て、知って、なお生きる力がある事をすなおに喜びたい。2014/06/05
ピンガペンギン
29
「愛・慈悲・祈り・瞑想」が憎しみや恨みをときほぐす志向性をもっていて、実際的な力をもっていることを理解することが重要とする著者。「イメージすることの責任とそのリアリティをいつも感じ続けてきた(P314)。」呪詛は心のエネルギーをある方向に向けることによって霊的な障害を他者に与えることだとし、呪詛グッズなどが容易に手に入る状況に警鐘を鳴らす。社会的な責任もある、と。前半でブッダが呪詛・呪い禁止を明確にしている点を確認した。2025/03/14
生活相談屋
3
鎌田東二先生の「悪」についての論考。「悪」の問題は、まさに宗教との関連において人間に突きつけられる問題である。密教には「呪殺」という修法があり、人間の「闇」の部分から最も大きなエネルギーを得てきた密教の体系において一つの象徴的意味を持つ。チベットの密教僧ドルジェタクの「瑜伽(性交)と度脱(呪殺)なしに密教はあり得ない」という言葉に戦慄を覚える。宗教に内在する絶対性の希求とそれがもたらす様々な「魔境」の問題が、この言葉に端的に現れているように思う。2017/04/30
出口求
1
オウム真理教とサカキバラの事件を通して、「呪い」を検証する。呪いとは何か。本書の特徴はそれを精神的に分解、解説したのではなく、あくまで「宗教者」「修行者」の観点から解説を試みている点である。俗っぽく言えば「オカルト的」に「呪い」とはなんたるかを説明しているのだ。当然理解に苦しむ個所(たとえば霊体験等を通じて感じた部分等)もある。ただ、修行をする、力を志向する、その時点ですでに己の中に外界を傷つける暴力=呪いの素が育っていることをわきまえなければならないというところは同感。とはいえ難しい。2016/04/17
ybhkr
0
なるほど、解くとは計算を解くとか意味を解くとかであって、呪いを解消するって意味ではないのね。パラッと見た感じオウムはじめ新興宗教の話題がけっこうあったので、いわゆるマインドコントロール、洗脳から解く方法みたいなものかと思っていたら読み解く方だった。オウムの相手からパワーを奪うセックス指南、セックスに行くまでがなげーよ!マスタベ期なげーよ!しかも細かすぎるよ!これを読んで実行しようと思った人間がどれだけマニュアルに頼ってるかわかるわ。荒俣峡、中沢新一、みんな麻原に好感触。あかんなあ。参考文献多過ぎ。2017/02/06