文春文庫
オリーブ

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  • サイズ 文庫判/ページ数 268p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784167813024
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

オリーブの木を買ってきた翌日、突然、消えた妻。跡を辿ろうとする夫は、2人の婚姻届すら提出されていなかった事実を知る。彼女は一体何者だったのか?そして、彼女の目的とは?表題作の「オリーブ」をはじめ、「紅雲町珈琲屋こよみ」シリーズの著者による、「大人の嘘」をモチーフにしたサスペンス作品集。

著者等紹介

吉永南央[ヨシナガナオ]
1964年埼玉県生まれ。群馬県立女子大学卒業。2004年、「紅雲町のお草」で、第43回オール讀物推理小説新人賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

のんき

94
恋人でも、夫婦でも、相手のことをぜーんぶ知ってるわけじゃないんだなあってあらためて思いましたあ。短編5編のうちの「オリーブ」もそう。夫が結婚してると思っていたら、婚姻届けすら出ていないなんて。夫のもとからは突然いなくなっちゃうし。びっくりです!まあ、これは特殊な例かもしれませんが。わたしは、「オリーブ」より「欠けた月の夜に」が好きかも。夫が亡くなったのは、過労死だと思って、会社に謝罪をさせようとする妻。でも、夫が過労死じゃないって妻以外は知ってたなんて。面白いけど、ちょっとこわいかも。2019/08/24

ぽろん

46
5編の短編集。紅雲町シリーズは、全部読んでいたのだけど、今作は、読メで初めて知りました。さすが、吉永さん、棘のあるヒヤリとするミステリータッチの描き方は、引き込まれる。特に表題作のオリーブは、結婚相手が失踪して初めて、婚姻届けも出されていなかった事実に気づく主人公と共に先が気になって頁をめくる手が止まらなかった。他の作品も自分の知らない家族の姿が、、。面白かったです。2019/10/27

yu

44
喪失が、全体を覆ったような短編集。 解説が心に染みる。 『子供の頃、苦いとしか感じられなかった食べ物が、いつの間にか「美味しい」と思えるようになったように、吉永南央の描く「苦さ」を私は「旨い」と思う。』 大人になってから読むことをオススメする一冊。2015/11/08

penguin-blue

42
何となく再読。4編の短編集。共通するテーマは「不在」。突然いなくなった笑わない妻、ずっと病で不在にしていた家に一時帰宅した夫、訪ねた家にいるはずだった精神を病んだ妹、そして夫を恐らくは過労死で亡くした妻。かなり重たいシチュエーションだが、それぞれの底に流れるのはちょっと変化球の愛情。状況的に決して明るくない話ばかりではあるが、後味は悪くなく、むしろ温かい。2019/02/11

エドワード

42
何の前ぶれもなく、突然日常が崩れていく。失踪した妻は、実は婚姻届も出していない架空の妻、なおかつ名前まで<なりすまし>だった-「オリーブ」は驚きの連続だ。自宅が人手に渡っていた-自分の彫刻作品が他人の名前で発表されていた-<狐につままれた>とはこのことだ。統合失調症の妹に救われる姉。過労死と思っていた夫の真の姿を知らなかったのは妻一人。日常生活は実に儚く脆い。ショッキングな展開の後に訪れる穏やかな終幕。人は決して孤独ではない。大切なものを失っても、何か必ず希望が残っている、という感慨を抱かずにいられない。2017/03/27

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