出版社内容情報
江戸開府以来の特権町人「町年寄」樽屋の新当主・三四郎は、影の町人集団「百眼」を率い、今日も人情と情報で事件を未然に防ぐ!
内容説明
貧乏のどん底だった親は、双子の姉妹の姉だけを吉原に売った。長じて巡り合った時、盗賊の情婦になっていた姉の心の内は―過去の確執と頼んだ押し込み事件を調べるため吉原に乗り込んだ三四郎、町年寄として江戸庶民の幸福を考えるが奉行と対立する。「吉原は潰すべきです!」「男の楽しみはいらぬと?」大好評シリーズ第五弾。
著者等紹介
井川香四郎[イカワコウシロウ]
1957年、愛媛県生まれ。中央大学卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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だいしょう@SR推進委員会
10
「人一人救えなくて多くの人は救えない」主人公三四郎にぶれはありません。時の町奉行大岡の大人の対応が意地の悪い対応にさえ見えてきて、これはこれでおもしろい設定。ただ、主人公が意固地すぎて共感できないところが辛い。フィクションだから都合のいい話のもってきかたもありなのに、共感できなくてすっきりしない。大岡とのやりとりも平行線のまま、ここまでずるずるときた感じ。登場人物たちに変化がないって、あまりおもしろくないものなのね。自分は、学び成長し変化していく人間たちを、読書をつうじて楽しんでいるのだと実感。2012/06/04
なつき
4
佳乃さんの影が薄くなってる…。ちょっと出てきて嫉妬するだけのお飾りヒロインにはならないでほしい。それにしても若い頃はちょっと拗ねていたという設定にもかかわらず吉原に行ったことがない…のは、この時代には微妙じゃないでしょうか。苦界の女性の辛苦を思うのはありですが「だから吉原をなくせ」という極論が時代小説で語られると違和感があります。三四郎が粋でイナセな若旦那じゃなくて四角四面の木石ぽい。2012/07/17
あかんべ
4
三四郎さんが、真っ直ぐすぎて侍より侍らしい、型っ苦しいよ。もっと遊んで。2012/02/18
蕭白
4
シリーズ5作目。今作は三四郎よりも「百眼」の面々の活躍が光ったように思いました。最近は、奈良屋さんより大岡さんの方が憎まれ役になっているようで、新鮮な感じがします。2012/01/09
鈴木みかん
3
おもしろかった。三四郎はあいかわらずかっこいい。今回は全体的に貧乏がテーマ。貧乏をポジティブに変えていくことができればいいのだろうけど、ネガティブに捉えてひたすら不幸に突っ走ることもあるんだよね。そこに大きな差ができることがわからないのがネガティブな人たち。三四郎は、そういうことを真摯にとらえているところがとても良い。次が楽しみだ。2012/09/30