内容説明
「私は彼らに、自分の考えですべてをおこなえる完全な自由を与えて、私自身は何も介入しない。そこから進歩が生まれる」。志半ばで日本代表監督の座を離れたオシム。祖国で語る日本サッカーへの貴重な提言と、世界中から師と仰がれる独特な監督論。文庫オリジナルとして、大震災へのメッセージ、なでしこにも触れた新章を追加。
目次
第1章 日本代表
第2章 日本サッカーに告ぐ―問題点
第3章 オシムの仕事
第4章 世界のサッカー
第5章 オシムの哲学―サッカーの今日と明日
第6章 監督論と監督の仕事
第7章 南アフリカ・ワールドカップ以後
著者等紹介
田村修一[タムラシュウイチ]
フットボールアナリスト。1958年千葉県千葉市生まれ。早稲田大学大学院経済学研究科博士課程中退。91年よりサッカーの取材を始め、サッカー専門誌や「スポーツグラフィック・ナンバー」「フランス・フットボール」などに寄稿している。2007年から、バロンドール(現在のFIFAバロンドール)選考(投票)委員を務める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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gonta19
21
2012/4/10 Amazonより届く。 2012/10/19〜10/29 オシムさんのサッカー観が十二分に味わえる名作。第七章の本田と香川論がとても興味深い。さもありなんの選択だ。 しかし、オシムさんの記事等を読むといつも思うことだが、あのままオシムさんが監督をしていたら、南アではどんなサッカーを見せてくれただろうか。今のように多くの選手達がヨーロッパへ出ていけたろうか。また、今オシムさんが監督になれば、どうなるんだろうか。オシムさんが監督をやるには選手達がビッグになりすぎてしまっただろうか。歴史に2012/10/29
したっぱ店員
19
ほんとに感想は、プロローグの「あのままオシムが日本代表を率いてくれていたら・・」に尽きてしまいそう。こんなに深く広い視野の監督に長期で指揮してもらいたかったと考えずにはいられない。本田には読んでほしいな。2012/04/21
Mzo
15
オシムによるサッカー解説。選手のなすべきこととは、監督の仕事とは、そして世界の、日本のサッカーの進むべき道は、等が理論的かつ情熱的に語られる。そしてそれは単なるサッカー論を超えた人生論としても圧倒的。こんな名監督に愛された日本サッカー界は幸せだよね。そして、冒頭に書かれていたように、もしオシムが病に倒れることなく代表監督の座についたままW杯を迎えていたら…と考えると残念でならない。ジェフでオシムが作り上げた強くて魅力的なサッカーが日本代表で完成していたらなぁ、というのは遂に叶わぬ夢となった。2012/05/03
忍者
9
サッカーの戦術、選手、日本、ヨーロッパ、業界全体など、マクロからミクロまでオシムのサッカーの理論や批判、哲学が網羅されています。 良く解らない内容も含め真剣に読めるのは、本からまるで魔法のように言葉が溢れてくるような感触があるからでしょうか。 バルカン半島の複雑な民族問題を思いつつ読むと、深く考えさせられることが満載です。 監督のマネジメントについても何度も触れられていますので、ビジネス書として活用も出来るように思えます。 とにかく、スペクタクルな本です。2015/02/24
アイマール
9
言葉に迷いがなく、信念の強さをかんじる。正解が決まってるわけではないから、自身の信念を持つことは監督として大切なことだと思う。紛争の絶えなかった旧ユーゴスラビアと言う過酷な環境での監督にはそのくらいの強さが必要だったのかも。もしも、病に倒れず2010南アフリカで采配をふるっていたら。ジェフでの魅力的なサッカーで世界を驚かしてもらいたかった。粉砕覚悟で。でも、それがサッカー小国のひとつの戦いかたでもあると思う。岡ちゃんは、真逆にいって結果は出したけど。ロマンと現実の選択は、たしかに、難しい。2013/09/29