文春文庫
平日

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  • サイズ 文庫判/ページ数 263p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784167801793
  • NDC分類 915.6
  • Cコード C0195

出版社内容情報

朝の上野、昼の円山町、夜の泉岳寺……。さまざまな表情を見せる街の姿を、期待の筆者が変幻自在の筆で活写するエッセイ11篇。

内容説明

月曜日。駅前広場にソースの香りが、吹きだまる。木曜日。踏切のまえで待つ男に追いつき、女がならぶ。水曜日。御殿山に日はかたむく。金曜日。通勤電車は、スカートの女が多いことになっている。「平日」の東京が見せる豊かな表情を活写。ときに妖しく、ときに切なく、ときに奇妙なユーモアに満ちた珠玉の文章群。

目次

反射する平日―上野
甘い平日―大手町
尻ふる平日―早稲田
飛ばない平日―羽田
迷える平日―吉祥寺
決起の平日―泉岳寺
とどまる平日―十条
島の平日―平和島
指さきの平日―円山町
渦まく平日―柴又
聖なる平日―バス観光

著者等紹介

石田千[イシダセン]
1968年、福島県生まれ、東京都育ち。國學院大學文学部卒業。2001年、第1回古本小説大賞を「大踏切書店のこと」で受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

なゆ

62
最初、戸惑う。あれ?これはどういうお話?東京の地名ごとの短編集だと思っていたのだけど、なんか違う。地名ごとの場面ごとの映像と写真…、いやいろんな場面のコラージュのような、そんな文章たち。誰かの目線で、あっちを見てこっちを見て、ちょっと歩いてそこらにいる人たちの会話に耳をかたむける。そんな日常、そんな平日の光景。お気に入りは、早稲田の本屋の猫目線。猫のつぶやきは、こわばった気持ちをほぐしてくれるよう。羽田の空港内の光景もいい。鋼の鳥たち、赤い鶴、灰色の星。土地勘があれば、もっと楽しく読めたかもと思う。2018/06/08

emi

40
想像と全く異なる本、と言っていいと思います。他の方が仰るように、東京の各町で撮影された風景の無声映画を淡々と見ているような、たぶん小説。誰の視点なのかが非常に曖昧で、とにかく心理描写は必要最小限に留められてます。11の平日の風景は、パッと目に入ったものがどんどん移り変わっていく。その合間にハッとする名文があり、それもまた長くは捉えない。固定された人物もいないので、恐らく好き嫌いが分かれやすい作品だと思うのですが、斬新さを求める方は一読されると面白いかも。普通の現実を不思議な感覚で眺められる稀有な作品です2015/06/24

あんこ

21
セピア色の淡々とした古い無声映画を流されている印象。誰かの何でもない日常を垣間見たのに、何処かノスタルジックで懐かしい。忘れかけていたゆっくりした平日の時間の流れが染みてきました。何だか散歩して銭湯に行きたくなる。そして少しだけ眠い。写真が素敵だなあと思ったら、お馴染みの坂本真典さん。2014/03/19

yuki**

20
男性だと思ってたら、女性でした。石田千さん、思わぬ出逢いでとっても嬉しい。淡々と綴られる東京の平日の1ページ。合間に突然、どきっとする文章があらわれる。思わず二度、繰り返し読んでしまう。表現力、想像力の豊かさ、自由さにひきこまれ、石田千さんが感じとる気持ちに、綴る文章にじわじわ夢中になりました。「こころなんて、段差ひとつかえただけで変わる。」「ほんとうの気持ちは、すこしはなれたところで、かすかに役にたちあう。」「自由は、きらわれる。」こちらもかもめブックスで出逢った1冊。2015年34冊目。2015/06/11

ひねもすのたり

17
本書は都内各所の平日を舞台にしたエッセイのような散文詩のような小説です。 上野、早稲田、十条・・・それぞれの街の情景から小さな物語が掬い上げられていきます。 土地勘があれば更に楽しめると思いますが、こういうモノの見方をしていると自分が住んでいる街の何気ない日常からもたくさんのモノを掬い上げることができるのではないか?などと考えたりもします。 この本を小説として読むならかなり退屈ですが、平日とはそもそもそのようなものだろうと思います。 涼しくなったら平和島でもつ煮を食べたい!★4 2018/07/29

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