出版社内容情報
なぜ企業不祥事が繰り返されるのか。原因は経営者でなく会社そのもののシステムにある。株式会社の抱える問題の本質を捉えた書。
内容説明
会社が不正を犯すすべての因子は、会社そのものの性格の中に潜んでいる―繰り返される企業不祥事。その原因は経営者にあるのではなく、株式会社というシステムそのものにある。欲望という病を抱えた成り立ちから限界まで、その本質を思考した画期的な書。「文庫版のためのまえがき―株式会社と原発事故」を収録。
目次
第1章 経済的人間―大きくなり過ぎた経済のちから
第2章 信憑論―かれらが会社を愛した理由
第3章 幻想論―欲望がつくりあげた幻想
第4章 因果論―結果は原因の中にすでに胚胎し、原因は結果が作り出す
第5章 技術論―『ウェブ進化論』では語りえないこと
第6章 倫理論―『国家の品格』と日本人のなし崩し的な宗旨替え
著者等紹介
平川克美[ヒラカワカツミ]
1950年東京生まれ。早稲田大学理工学部卒。77年、渋谷道玄坂にて翻訳会社を設立。99年、アメリカ・サンノゼ市にビジネスサポートを主業務とするBusiness Cafe,Inc.を設立。01年、(株)リナックスカフェを設立。その後数社の経営に携わる。06年に声と語りのダウンロードサイト「ラジオデイズ」を企画設立し、取締役兼プロデューサーとなる。現在、(株)リナックスカフェ社長、立教大学特任教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
GAKU
34
何か同じような事をくどくどと書いていて、基本読んでいて面白くなかった。期待外れでした。2023/02/28
シュラフ
12
会社生活27年。会社人間ながらも時々ふと感じてしまう会社の利益至上主義へのもやもやした疑問がずっとあった。ビジネスの現場においては顧客の利益を考えるべきなのか、会社の利益を考えるべきなのか。"会社から給料をもらってるんだから"と考えることをやめることで会社の利益を優先してきた。今までどんな本を読んでも解決してくれなかった疑問みについて、はじめて解決するヒントを与えてくれた一冊だった。解決策が提示されているわけではないのだが、会社とは何かという本質を教えてくれる。ひとつひとつの文章が胸にすとんと落ちてくる。2015/10/31
だいすけ
6
読みごたえあり。話は株式会社だけにとどまらず、文明批評の書。湯浅さんの解説を読んで、そういうことなのねと納得。2018/06/12
kera1019
5
「株式会社という病」について「人間の欲望自信がヒューマン•スケールというものを追い越して一人歩きしてつくりあげた未来の幻想なのではないか」という一考が印象に残ります。必死こいて光を集めた分だけ、闇の部分が深くなる。右肩上がりに成長し利益を最大化しなければならないという幻想、経済成長という呪縛が作る影について考えさせられました。2014/08/05
makimakimasa
4
株式会社というシステムの本質と限界、及びこれを生み出した人間社会の欲望に自覚的であれ。この命題を説く為の思考の軌跡と論理展開が読む者を飽きさせない。「人間とは、自分が意志することと別のことを実現してしまうような存在」との前提理解が要。経済成長や生活利便性の飽くなき追求を「ヒューマン・スケールというものを凌駕した、テクノロジーによって作り出された欲望」「人間が自らの欲望に逼塞し、生きることのリアリティを希薄化させているとすれば、テクノロジーの恩恵とは、まさに遭難者の前に投げ出された金塊に過ぎない」と断じる。2019/07/16