内容説明
「魯山人会」発起人だった父は、彼の死後手許に山ほどあった作品をすべて売り払ってしまった。なぜか?遠い少年の日の記憶から、魯山人をたどる旅がはじまる。現存資料のほぼすべてにあたり、関係者80人超の取材を経て書き上げた、決定的評伝。第39回大宅壮一ノンフィクション賞受賞作品。詳細な年譜付き。
目次
第1章 父と魯山人―昭和三十四年~五十二年
第2章 出生―明治十六年~四十四年
第3章 食客―大正元年~十三年
第4章 星岡茶寮―大正十四年~昭和十一年
第5章 雅陶三昧―昭和十二年~二十年
第6章 永遠なれ魯山人―昭和二十一年~三十四年
著者等紹介
山田和[ヤマダカズ]
1946年(昭和21年)、富山県礪波市生まれ。出版社勤務ののち、作家に。『インド ミニアチュール幻想』(平凡社、1996年。文春文庫、2009年)で第19回講談社ノンフィクション賞を受賞。2007年の『知られざる魯山人』(文藝春秋)では第39回大宅壮一ノンフィクション賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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おさむ
44
マンガ「美味しんぼ」の海原雄山のモデルとなった魯山人の精緻な評伝。孤児として生まれ育ち、紆余曲折を重ねた生涯ですが、魅力的な人物とは思えず、600頁超の大作を斜め読みでした。第39回大宅壮一ノンフィクション賞。解説で磯田道史さんがベタ褒めしてるのはマニアな所が共鳴するんでしょうね。2016/07/16
ばんだねいっぺい
35
600ページ超え、しんどかったが、物語の圧倒的ボリュームにやられてしまった。冒頭の文章は、魯山人亡き後の後日談となっており、中盤は、その破格の境涯を余すことなく伝え、結びに、唯一、残された一片の濡額「雲雨散ずる知らず」が心に飛び込んでくる。人類の偉大なる教師にして、反面教師。性格の点で、身につまされたことも多く、我が身の反省ともなった。2019/03/13
atsut101
3
魯山人の伝記を読んだことはないので比較はできませんが、著者の魯山人作品に対する個人的な思い入れの成果でしょうか、現状出来る限りの取材をきちんと行なっていて、魯山人の真の姿が描かれていると思います。魯山人の晩年の状況については取材出来る状況ではない為、むしろ、著者の家庭環境のお陰で普通は知らないことまで推測を交えず記述できているので、胸に迫るものがあります。2011/10/18
べんてん。
3
題名の通り、私が知っていなかった魯山人。といっても知っていることといえば、美味しんぼの海原雄山のモデルだということぐらいですが・・・。 著者の父親が魯山人と親しかったためもあるだろうが、もうありとあらゆる文献、記録、証言を網羅して魯山人の実像に迫る一冊。いやあ、魯山人を題材にこれ以上のものは小説でもないかぎり書けないでしょう。著者の熱意に拍手を贈りたい。読後、星岡窯や星岡茶寮の地を訪ねてみたくなった。さあ、週末は鎌倉か赤坂だ。2011/08/04
kojisec.
3
何年か1度北大路魯山人が話題になるわけだけれども、往々にして傲岸不遜だとか、美味しんぼの海原雄山のイメージとして捉えられがち。この本は北大路魯山人について、膨大な記録や周囲の方々の証言をもとに、ありのまま伝えようとしていることが伺える。傲慢であることは確かだが、好き嫌いがハッキリしており、料理、陶芸、芸術等において美しいもの、本質を間断なく追求しようとする姿勢が見て取れる。私も表面的な頑固さだけを模倣しようとはせず、善いものは善い、悪いものは悪いと言えるようになれればと思った。2011/04/24