出版社内容情報
花師と絵画修復師の2つの顔を持つ佐月。絵画修復のため立ち寄った寺で昔の恋人に再会して……。著者急逝によるシリーズ最終作。
内容説明
花師にして絵画修復師の佐月恭壱。二つの顔を持つ佐月の元に、肖像画修復の報酬が古備前の甕という奇妙な依頼が舞い込む表題作他、藤田嗣治の修復をめぐり昔の恋人に再会する「葡萄と乳房」、女体の緊縛画を描いた謎の絵師を追う「秘画師遺聞」の全三篇を収録。絵画修復に纏わる謎を解く極上の美術ミステリー。
著者等紹介
北森鴻[キタモリコウ]
1961年、山口県生まれ。駒澤大学文学部卒。編集プロダクション勤務を経て、執筆活動に入る。95年、「狂乱廿四孝」で第6回鮎川哲也賞受賞。99年、「花の下にて春死なむ」で第52回日本推理作家協会賞を受賞。2010年1月25日逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
119
絵画修復師シリーズの2作目で、この中には2作の短編が収められています。いつもじっくりと読ませてくれる作品で非常に私の好みなのですが、この継続作品が読めないのが残念です。他の作品に出てくる主人公も今回は顔を出したりしています。また主人公の学生時代の話で恩師や恋人であった人物などとのやり取りも出てきて楽しめます。2017/12/11
佐島楓
57
「人間であることを忘れる」ほどの集中力で絵画修復に挑む佐月。脇を固める個性的な男性、魅力的な女性たち。皆腹の底が読めない胡散臭さを持ちながらも、それぞれの美学に沿って生きている。更なる広がりを見せそうだったシリーズだったが、続きをもう2度と読めないことに寂しさを覚える。2018/03/22
藤月はな(灯れ松明の火)
52
伯父の遺した蔵書から貸借。しかし、これは続編だったのか・・・。絵画修復師として類まれなる技述を持ちながらもそれ故に不遇を託った父を持つ佐月。花師と絵画修復師の二足の草鞋を履く彼の許に集うのは、政治や情の絡む、曰くつきの美術品ばかり。佐月は政治関係や親馬鹿によってしばしば、荒事に巻き込まれるので時折、ハードボイルドを読んでいるのかと錯覚してしまう。それでも生き馬の目を引き抜くような熾烈な芸術界で作品に向き合う佐月の愚直さは好感が持てます。一方、佐月を嵌めようと罠を仕掛けたり、鑑定の衰えを隠す倉科の悪辣さよ。2026/01/04
Kenichi Yanagisawa
39
花師にして絵画修復師である佐月恭壱。天才的な絵画修復の技術を3つの短編で繰り広げてくれる。真贋を見抜く目でその修復に秘められた謎も、、、。なかなかクールだ。2013/01/21
venturingbeyond
36
蓮丈那智、宇佐美陶子、香菜里屋のマスター、そして本作の主人公・佐月恭壱と、著者のシリーズの主人公の人物造形は作を重ねるごとに彫琢をまし、どのシリーズもどっぷり作品世界に没入し、堪能させてもらっている。本作でも、冬狐堂の姿がちらついているが、これから先、それぞれのシリーズで、作品を跨いだ登場人物の共演が描かれたのではないかとの思いも…。他のレビューにもある通り、著者の早逝が悼まれる。2023/01/28




