出版社内容情報
小学校と塾を往復する生活に疑問を抱いた少年たちはイカダ作りを思い立つ。様々な葛藤と友の死を経て、彼らは何を選択するのか?
内容説明
船作りを思い立った5人の少年。それぞれ複雑な家庭の事情を抱えながらも、冒険への高揚が彼らを駆り立てる。やがて新たな仲間も加わるが―。発表当時、そのラストが多くの子どもの心を揺さぶった巨匠・那須正幹の衝撃作。30年の時を経て文庫版で登場です。
著者等紹介
那須正幹[ナスマサモト]
1942年、広島市生まれ。島根農科大学(現・島根大学)林学科卒業。家業の書道塾を手伝うかたわら、創作活動に入る。72年、『首なし地ぞうの宝』が第2回学研児童文学賞に入選しデビュー。78年に第1作を発表した『それいけズッコケ三人組』シリーズは、2004年の最終作『ズッコケ三人組の卒業式』に至るまで50巻を数え、日本児童文学史上最大のベストセラーとなっている。95年、『お江戸の百太郎 乙松、宙に舞う』で、第35回日本児童文学者協会賞受賞。2000年、『ズッコケ三人組のバック・トゥ・ザ・フューチャー』で第38回野間児童文芸賞受賞。同年、第23回巖谷小波文芸賞受賞。山口県防府市在住。日本児童文学者協会会長、日本文藝家協会、日本ペンクラブ会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
新地学@児童書病発動中
131
ふとしたことから船作りを始める小学6年生の5人の男子を描く長編。ロマンチックなタイトルが付けられているが、重たい内容だった。子供は無邪気といっても、子供なりに悩んでいて、その苦しい胸の内がリアルに伝わってくる。読みながら、自分の子供時代の悩みやコンプレックスを思い出した。皆で作り上げた船は、この少年たちにとってどのような意味を持っていたのだろうか。台風からどうしても船を守ろうとする、一人の少年の行動が切なかった。2016/06/19
しいたけ
116
いま、読み終えて呆然としている。大人の弱さや欺瞞。波を立てないように、傷つかないように、上っ面を滑るように進むあざとさ。普通の児童書なら、子どもの純粋さと未来への希望でもって、糾弾し撥ねつけ乗り越えていくのだろう。この本の、船を作る少年たちは、大人社会にのまれている。閉塞感との対比で大海原に漕ぎだすのかと期待すれば、裏切りで暗雲に出口なしの迷子になる。これが人の真の世界なのか。ヒーローなる少年も、理解者たる大人も登場しない。けれども、私はこの物語をいいと思う少年を愛する。いいと思う大人も愛する。2018/10/01
kaoru
39
「ズッコケ」のイメージが強く最後まで違和感を感じました。特に終盤の展開は衝撃的。ただ、先入観なしで読めば、子ども社会だってきれいごとばかりではないことが、ノスタルジックな雰囲気でうまく描かれています。2017/04/24
七色一味
37
読破。これを、単に児童書と分類して良いかどうか…。今も昔も、読み手に夢を与える──特に児童書はそれがより顕著であるはずなのに、この物語では見る夢も漠として定かでなく、感じられるのは、現実からの逃避。最後が逆に物悲しい──と言うか、虚しいと言うか。なんだかやり切れなさを覚えた。かと言って、読後感が悪いわけでもなし。2013/03/09
niisun
29
1980年代に出版された那須さん作品。那須さんと言えば多くの児童文学シリーズを産み出した方ですが、さすがは、たくさんの小説を書き上げているだけあって、引き込まれる文章でした。但し、児童文学の枠に収まりきれない、悲哀や苦渋にまみれた純文学的様相も呈してます。作者へのインタビュー記事でも、発刊当時に多くの批判を受けたことが語られていましたが、確かに解りやすい「救い」を提示するような、如何にも児童文学という感じではないです。でも、世の中全体が明るい未来像を描けずにいる今だからこそ子供達に読んでほしいですね。2016/04/05
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