内容説明
かつて防衛庁の非公開組織に所属していた丹原朋希と入江一功。二人の胸には常に、救えなかった一人の少女の言葉があった。同じ希望を共有しながら、宿命に分かたれた二人。戦場と化した東京・臨海副都心を舞台に、この国の未来を問う壮絶な祭儀が幕を開けた。前代未聞の思索スペクタル、驚愕の完結篇。
著者等紹介
福井晴敏[フクイハルトシ]
1968年東京都生まれ。千葉商科大学中退。98年『Twelve Y.O.』で第44回江戸川乱歩賞を受賞し作家デビュー。99年刊行の『亡国のイージス』で2000年第2回大藪春彦賞、第18回日本冒険小説協会大賞日本軍大賞、第53回日本推理作家協会賞長編及び連作短編部門を受賞。03年『終戦のローレライ』で第24回吉川英治文学新人賞、第21回日本冒険小説協会大賞日本軍大賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
39
やっと最後までたどり着きましたが、やはり福井さんの長編は読みでがあります。書かれるご本人もこれだけ書くとかなり消耗するのではないかと思います。読んでいるほうはさらに結末がどのようになるのだろうとハラハラしながら読むので余計力が入ります。それにしてもうまく決着をつける気がします。しかも日本の問題点をよく俎上に載せてくれます。2014/09/25
gonta19
38
2009/2/14 ジュンク堂住吉シーア店にて購入。 2013/3/13〜3/18 いよいよ、クライマックス。TPexをめぐる攻防は読み応えあり。とても面白く読めた。が、結局ローズダストの目指した世界観が今ひとつ理解しきれなかったのが、残念。2013/03/18
hrmt
32
臨海副都心が破壊されていく描写は恐ろしいほどで、この迫力は映像でみてみたくなります。もしもテロ対処の裏にこんな事情が隠されていたなら…と思うとゾッとする。一功も朋希も共に古い言葉でしか世を見れない“集まり”の犠牲者であるのに、その二人の結末が悲しかった。古い言葉や集まりに囚われてその身を雁字搦めにされてしまった人達の中にも、未来に新しい可能性を信じられる個人は必ずいると思いたいし、その底力がある国であるはずだと信じたいと思いました。2017/03/20
hnzwd
29
大団円。読むのに時間がかかってしまったけど、最後は一気読み。テロリストであるローズダスト側の純粋さと政府側のあざとさが対比されているため、敵側に肩入れして読んでしまいました。特に圧巻は留美。一騎当千の戦いっぷりと、ラストの描写。惚れます。2012/10/21
佐島楓
28
ものすごい迫力でお台場が崩壊していくシーンはすさまじいが、震災後の今だから笑えずむしろ怖いと感じてしまう。だが、まあ、ラストに近づくにつれこの作品もやはり富野ガンダムへのオマージュなんだなと理解できたので大丈夫になった。新しい言葉を持てる、創り出せる私たちでいなければと思う。2012/03/23