出版社内容情報
生誕80周年記念企画!
ナチスドイツ興亡の時代を背景に、ドイツ、日本、イスラエル3国にまたがる3人の主人公の生と死。著者畢生のライフワーク再登場
担当編集者より
1936年8月、ベルリン・オリンピックが開催されているさなか、ベルリン大学近くで、1人の日本人留学生が何者かに殺された。アドルフ・ヒットラーの出生にまつわるある秘密を握ったからであった——。ナチスの興亡と日本の戦時下の時代を背景に、3人のアドルフの運命を国際的なスケールで描いた著者晩年の大作登場!
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
zero1
63
ヒットラーの秘密を巡る人たちが歴史に翻弄される。始まりはベルリン五輪。元陸上選手の峠は記者として派遣。留学中の弟から電話で会う約束をするが弟は殺される。弟を知る女性には秘密が。神戸には領事館員の息子とユダヤ人が営むパン屋の息子、二人のアドルフがいた。父の死で日本人の母を日本に残しドイツへ行くアドルフ。ナチスの幹部になるのか。久しぶりの再読。手塚作品としては異色のテーマ。全四巻。2019/06/22
Vakira
57
3人のアドルフ。ユダヤ人、ドイツ人の2人の少年とあのヒトラー。初っ端から殺人事件。事件の裏にはヒトラーの生誕の秘密?カムイ伝の徳川家康生誕の秘密に匹敵?手塚治虫は凄い漫画家だ。相当背景を勉強しないと書けない物語。SFではなく世界を揺るがすミステリーに挑戦。少年の二人のアドルフの物語の場所は日本から始まる。親友同士だがドイツ人とユダヤ人。やがて敵対していく運命となるのか?さて展開は如何に。ワクワクさせるストーリー本当に流石。2021/02/17
佐島楓
53
第二次世界大戦直前のドイツ、そして日本、謎の殺人事件とある「告発」。三人のアドルフが鍵を握る。久しぶりの再読、やはりずっしり重い。二巻へ。2015/11/12
AICHAN
38
再読。アドルフという名を持つ3人の男の物語。まずはヒトラー。ベルリンオリンピックのとき、ドイツに住んでいた日本人青年が殺される。青年は共産主義者だった。ヒトラーの致命的な秘密を知ったがために殺されたのだった。ジャーナリストの兄がその真相を追う。そのころ日本の神戸には2人のドイツ人少年がいた。どちらのファーストネームもアドルフだった。一方はユダヤ人だったが2人は大の仲良しだった。日独混血のドイツ人のアドルフの父親はヒトラーを崇拝していて、有馬温泉の芸者殺害の容疑者となる。日本人の妻に罪を告白し逝く。2021/11/26
fu
24
3人のアドルフの物語。有名なあのアドルフが登場するのかと思うとそれだけで想像がつき、気が重くて読む気がしなかったのだが、「AERAの1000冊」で紹介されていたので、勇気を出して読んでみた。ドイツの話がはじまるものと思っていたら、神戸が舞台の中心で、親近感を湧かせて読者を物語に惹きつける構成が巧み。2015/11/14