文春文庫
夏の椿

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  • サイズ 文庫判/ページ数 393p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784167744014
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

出版社内容情報

ある日甥を殺された立原周及介は、その原因を追ううちに柏木屋が係わっているのを知る。途端に周及介の周りで、不穏な事が・・・。

内容説明

天明六年。江戸が大雨に襲われた日、甥の定次郎を何者かに斬殺された旗本の三男坊である立原周乃介は、その原因を調べるうちに、定次郎が米問屋柏木屋のことを探っていたことを知る。柏木屋の主人、仁三郎には暗い陰が見え隠れしているようだ。核心に迫りだした周乃介の周りで不審な事件が起きはじめた。

著者等紹介

北重人[キタシゲト]
1948年、山形県酒田市生まれ。仲間とともに建築・都市環境計画の事務所を設立。長く、建築やまちづくりにかかわる。1999年、「超高層に懸かる月と、骨と」で第三十八回オール讀物推理小説新人賞を受賞。2004年、『夏の椿』(原題「天明、彦十店始末」)が松本清張賞の最終候補となり、同作品でデビュー。2007年、『蒼火』で第九回大藪春彦賞を受賞する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

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じいじ

74
まずもってこの作品が、処女作とは思えない完成度の高い長編でした。読み始めてすぐに、文章のテンポ、情景描写の巧さに惹かれました。このデビュー作に伊集院静氏をはじめ名だたる先達の称賛の声がこれほど集まるのは、新人作家では珍しいことです。これを書かれた北重人氏は,まったくノーマークの作家さんでした。読友さんのおススメを頂けなければ、名前も作品も知りませんでした。しかも、北重人さんは私より7歳もお若いのに、すでに2009年に他界されているとのこと。遺された29作を大切に味わいたいと思います。2024/07/17

はつばあば

34
江戸の街並みが、風景が、人情が作品の中で目に浮かぶ。巷では米の値上げ、土地の買い上げの中、過去の殺しが殺しを呼ぶ。長屋で暮らす周乃介の側にいる初婆さんのようなおせっかいさんが、柏木屋の兄弟の周りにいてくれたら、ここまで歪に育たなかったかも。沙羅の凄愴な艶と色気に殺陣、そして周りの助け。読ませてくれます。私も幼い頃の父親の厳しさは反発のみできたが、深い愛情があったればこそと今になって思う。昔も今も、子供はどこで道を誤ってしまうのだろう。江戸時代の貧しさと平成の貧しさはどこかで重なるのかな2015/06/19

キムチ

6
この人の文体にぞっこん。しかし、亡くなってたとは。クライマックスの舞台座敷での攻防描写に作者の職業が光る。立体的に水と火と剣がめくるめく。男女の絡み合い描写が色っぽい。センテンスが短いのは男性的だが、却って余情が浮かぶ。「一筋の黄金色が空の涯をかぎる。・・やがて空が青みを帯び、一望の屋根屋根が、きらきらと初陽を撥ね返し始めた。」上手いなぁ~~職人技というか、筆者は文を綴りつつ、自らも陶酔境にあったのかと思ってしまう。江戸の空気が身近でさんざめく。2012/08/21

italiaria

3
★★★★☆ 派手さのない、静かに進んでいくストーリーといった感じ。昨今はやっている書下ろし時代小説のようにめまぐるしく展開する訳ではないが、じっくりと味わえる作品。2010/01/19

takao

2
ふむ2024/01/12

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