内容説明
深く刺さった、小さな棘のような悪意が、平和なオフィスに8つの事件をひきおこす。社会人一年生の大介にはさっぱり犯人の見当がつかないのだが―「歩いたあとには、1ミクロンの塵も落ちていない」という掃除の天才、そして、とても掃除スタッフには見えないほどお洒落な女の子・キリコが鋭い洞察力で真相をぴたりと当てる。
著者等紹介
近藤史恵[コンドウフミエ]
昭和44(1969)年、大阪市生まれ。大阪芸術大学文芸学科卒業。平成5年『凍える島』で第四回鮎川哲也賞を受賞し、作家デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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読書素人本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さてさて
302
『でもね、掃除をやっていれば見えるものもあるのよ。だれも掃除をしている人なんて存在しないと思っているからね』と語るキリコが、そんな仕事の中にヒントを見つけて数々のミステリーを解決していくこの作品。それは、『掃除の天才で、キリコちゃんが歩いたあとには、1ミクロンの塵も落ちていない』と、常に真摯な姿勢で心を込めて掃除に向き合っていくキリコだからこそ、そこにヒントを見つけることができるのだと思いました。全体として気軽に、サッパリとした読後感が楽しめるこの作品。続編も引き続き読んでいきたい、そう感じた作品でした。2021/05/19
三代目 びあだいまおう
291
再読。私が尊敬(かなり年下だが)している女性、華やかな業界から清掃業に鞍替えし、今清掃業務を行いながら、ビルクリーニングの資格取得を目指してる。それだけでも崇高な心意気。頑張る彼女に最近読んだ本作続編をあげたら、数日後に「すごく面白かったです!シリーズ他にあったらまたお願いします」と! 嬉しかったのであえて1作目を読み返した。やはりキリコは魅力的!当然2作目より若く、展開の薄さはありましたが後半はGood !著者も苦しい時代に清掃作業員の経験なさったんですね!自信持ってこの本あげよう、天使の卵にね‼️🙇2019/02/09
佐々陽太朗(K.Tsubota)
280
『サクリファイス』『エデン』『サヴァイブ』とロードレースものが素晴らしすぎてなかなか他の作品に手がでなかったのだが、先日『タルト・タタンの夢』を読んだのを機に他の作品も読むことにした。「モップの天使・シリーズ」もお気に入りになりそうです。どんな仕事も心を込めてやれば特別なものになる。その域に到達するには根気が必要だが、そこまで時間と労力をかけるからこそ、その仕事は他の人のものとは違う輝きを持つ。掃除が楽しい、それも他人が使うスペースを楽しんで、しかも心を込めて出来るなんて、それこそ天使の仕業ではないか。2014/08/24
mae.dat
276
8話連作短篇。タイトルの“天使”はビル清掃を担うキリコちゃんの事だよね。と思ったら( ¨̮ )。見た目はギャルなんだけど、お仕事清掃は完璧だよ。でもお仕事小説と言う訳でもなく。草食系(?)新人男子大介くんとの会話で物語を転がす、何だろう。……日常ミステリー? いや、殺人も起こっとったなぁ。非日常系ミステリーかな。謎解きとしては超ライトな仕上がりですが、会話とその他社員さんとかの関係性でしょうかね。毎回各話の冒頭でキリコの容貌に付いて触れられるのは雑誌掲載の為の、読者への簡単な説明の為なのでしょうね。2025/02/15
hiro
249
近藤さんの本10冊目。このシリーズも万能鑑定士Qの莉子、ビブリア古書堂の栞子、珈琲店タレーランの美星と同じく女性が探偵役。主人公キリコは10代後半のプロの掃除人で、相棒の社会人一年生の大介をリードして、大介の会社で起こる謎を解いていくが、やはり掃除人という設定が面白い。また40ページ弱の短編なので読みやすい。せっかく大介が入った会社だが、管理職のセクハラ・不倫、物が無くなり、そして死者までもでる、こんな会社はだめだろうと突っ込みを入れたくなる。さて2作目以降も、他のシリーズと比べながら読んでみようと思う。2015/02/27
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