内容説明
町営の診療所しかない都下の離れ小島に赴任することになった、トンデモ精神科医の伊良部。そこは住民の勢力を二分する町長選挙の真っ最中で、なんとか伊良部を自陣営に取り込もうとする住民たちの攻勢に、さすがの伊良部も圧倒されて…なんと引きこもりに!?泣く子も黙る伊良部の暴走が止まらない、絶好調シリーズ第3弾。
著者等紹介
奥田英朗[オクダヒデオ]
1959(昭和34)年、岐阜県生まれ。プランナー、コピーライター、構成作家を経て、作家に。2002年に『邪魔』で第4回大藪春彦賞、04年に『空中ブランコ』で第131回直木賞、07年に『家日和』で第20回柴田錬三郎賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
888
お馴染みの伊良部シリーズの1冊。4つの短篇から構成。最初から3つはそれぞれ有名人をモデルにしたパロディ小説。一応は仮名を用いているとはいえ、誰にもモデルが簡単にわかる。伊良部も俎上に挙げられたモデルの人物たちの言動もきわめてコミカルに描かれるが、どこか寂しさとペーソスを湛えている。マユミちゃんがスパイスを効かせているのも、いつも通り。表題作は東京都に属する離島の千寿島を舞台にした活劇ともいうべきもの。伊良部はやや精彩を欠くようにも思う。エンディングは、もうこれしかないという着地点に。2023/08/19
ehirano1
836
当時の時事ネタ2つで滑り出し、「カリスマ稼業」の新曲”若作り”の歌詞(”ほかにやることねのかよー”)に爆笑し腹筋を再び痛め、「町長選挙」はこれまでにはないシチュエーションで随分引き込まれました。第4弾、出ないかな。2016/04/20
再び読書
674
読んじゃったよ~ん。見たいな既に伊良部先生?の中毒患者になったようである。とうとうナベツネからホリエモンを凌駕し、女優、挙句の果てに政治家まで視野に入れてきたのか、まあそんなわけ無いかと落ち着くようなオチのつかない結末。「イン・ザ・プール」に近いハチャメチャぶりが復活した。やはり面白いと言わざるを得ません。この感覚に再度脱帽。2012/12/04
masa
465
神経科医伊良部シリーズ第3弾。またまた楽しんで読ませてもらいました。伊良部先生の滅茶苦茶ぶりがさらにエスカレートした印象ですね。患者さん達を散々振り回しまくります。作品中ではあまり語られることがない看護婦のマユミちゃんの私生活や境遇がとても気になります。続編にも期待してます。2015/02/20
そる
452
さすがに3冊目になると少し飽きてきたが、やはり安定のおもしろさ。今回はセレブばっかり。「アンポンマン」は絶対ホリエモンだね。「町長選挙」は選挙活動がえげつなさすぎて不快感じてたら、当事者たちは一つの思いでやっていた事だと知りちょっと清々しさ感じた。確かに勝敗があるものは盛り上がる。勝敗を決めないご時世ですが、やる気が出るので必要はあると思う。伊良部は「こんなに楽に生きていいんだ」と思わせてくれる不可欠な人だね。「「(前略)でもな、みんな伊良部先生のことは好いちょるよ。あほうは可愛い。気がらくでいい」」2020/01/31