内容説明
雪道の自動車事故で半身不随になった流行作家のポール・シェルダン。元看護師の愛読者、アニーに助けられて一安心と思いきや、彼女に監禁され、自分ひとりのために作品を書けと脅迫される―。キング自身の体験に根ざす“ファン心理の恐ろしさ”を極限まで追求した傑作。のちにロブ・ライナー監督で映画化。
著者等紹介
キング,スティーヴン[キング,スティーヴン][King,Stephen]
1947年、アメリカ・メイン州生まれ。「キャリー」「シャイニング」「ザ・スタンド」「ダーク・タワー」「IT」「ミザリー」「グリーン・マイル」など数々の傑作を発表し、“キング・オブ・モダン・ホラー”として世界的な名声を誇る巨匠
矢野浩三郎[ヤノコウザブロウ]
翻訳家。1936年、福岡県生まれ。2006年逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
青乃108号
150
中盤までは冗長に感じて退屈だった。サイコ女に監禁された作家が、女から様々な肉体的責め苦を受けながら嫌々「ミザリー」というシリーズ物の続編を書かされ、彼女の納得行くまで書き直させられるという話で作家の1人称で物語は語られるのだが「○○の○○みたいな」という良くわからない例えが頻繁にホント頻繁に出てきてイライラする。中盤からようやく話は面白くなってくるが、結局オチは何だかはぐらかされた様な形でこれまた何だか良くわからない。500ページの長編でこの内容はどうなんだろう。サイコ女の気持ちもちょっと、わかるような。2023/08/30
🐾Yoko Omoto🐾
148
“監禁される者とする者”“書かせる者と書く者”の二人芝居さながらに、アニーの狂気とポールの恐怖、そこから派生したポールの心象風景で構成された傑作サイコサスペンス。とにかく秀逸なのはポールが脳内で描き出す作家ならではの精神世界とでも言おうか、どこかしらコミカルにさえ感じる“恐怖を超越した恐怖”の描写だろう。単に監禁された男ではなく最初から最後まで『作家』であり続けたポール、『読者』であり続けたアニー、そしてこの凄惨な状況から生まれた「ミザリー」のシリーズ最高傑作。ポールが払った代償は確かに大きすぎたが、→2015/07/01
s-kozy
90
今をときめく流行作家が不慮の事故に遭い重傷を負う。助けてくれたのは「あなたの一番の読者よ」と自称する頭がおかしい女性。作家はその女に監禁されてしまう。衝撃的な出だしに「最悪」と感想を抱くが、読み進めるとそれはまだまだ序の口だった。女性の狂気とも言える行動により最悪と思えた事態はより一層の深刻さを増していく。そのあまりのおぞましさに読んでいて何度も顔が歪んだ。そして、読み進むにつれ、「次は何が起きるかな?」と期待する自分に唖然とさせられた。さすがキングと言えるホラーの傑作と言えるでしょう。怖かった。2015/08/20
藤月はな(灯れ松明の火)
85
ファン心理の狂気を描いたキングの傑作。脚に鋸をかける画像は観ていたので初っ端から慄きながらもページを開く。すると強力な鎮痛剤中毒にさせられ、自分の書いていた作品を燃やされたり、汚れた水を飲まされたり、放置されたりと心理的に抉られる展開が続き、顔面は蒼白。その後、アニーの犯した殺人のスクラップの詳細やヒステリーチックで論理の破たんした言動に怖さはどんどんと募り、斧で脚を切り落とされたり、助けようとした警官が草刈り機で頭を潰される場面は電車内で悲鳴を挙げない様にしなければならなかった。助かって良かった(泣)2014/06/13
アナーキー靴下
74
自分が妄想で人を決めつけることについて結構悩んでいて、わかりやすく例えると、相手に「貴方はこう思っているはずだ」とか言い出し、もし否定されたとしても「自分では気づいていないだけで本当の貴方は…」なんて食い下がりかねないなと。本作は映画のさわりくらいしか知らず、そういうやばい奴出てくる話かと思い、自省も込めて読んだ。熱狂的なファンは確かにやばいんだけど、小説家もやばくない? 妄想対決よねこれ。生き残った者勝ちだしね。必然の連続で進行するのは本当に見事。小説家としてのイニシエーションを形にしたようにも思える。2023/04/06
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