出版社内容情報
国際ビジネスの厚き壁。戦後最大といわれた実在の商社の崩壊劇を、アメリカ・カナダへの現地取材をもとに描いた企業小説の力作。
内容説明
石油部門への進出を焦って熾烈な国際商戦の渦に巻き込まれ、倒産するにいたった巨大総合商社。石油という国際的な商品の“魔性”に命運を賭けた大企業の野望は、いかにしてついえたのか。日本経済に大きな衝撃を与えた安宅産業の崩壊を題材に、徹底した現地取材と卓抜な洞察力で真相に迫る、企業小説の傑作。
著者等紹介
松本清張[マツモトセイチョウ]
1909(明治42)年12月、福岡県企救群板櫃村(現・北九州市)に生れる。53(昭和28)年「或る『小倉日記』伝」で第28回芥川賞を受賞。56年、それまで勤めていた朝日新聞社広告部を退職し、作家生活に入る。63年「日本の黒い夢」などの業績により第6回日本ジャーナリスト会議賞受賞。67年第1回吉川英治文学賞受賞。70年第18回菊池寛賞、90年朝日賞受賞。多方面にわたる多くの著作がある。92(平成4)年8月死去。98年、北九州市に「松本清張記念館」が開館(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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まつうら
39
住友銀行を揺るがした安宅産業破綻事件とは何だったのか? 松本清張が経済小説を書いているところも気になって手に取った一冊。しかし読み始めるとなかなか物語がすすまない。同じことを別の登場人物が別の視点で語ることが繰り返されるので、とてもイライラが溜まってしまった(汗)。石油産業に失敗して転落する物語だが、安宅栄一と思しき江坂要造に対する著者の視線がとても厳しいことが気になった。社業に就かず、創業者の息子というだけで会社を私物化し、古美術品をため込んでいたことが、絶対に許せなかったのだろう。とてもよくわかる。2022/09/02
しーふぉ
18
商社の存在が空なのか・・・実際に起きた商社の倒産をモティーフにしている。サッシンの詐欺まがいのやり口に怒りを覚えます。山﨑豊子の不毛地帯と合わせて読むと商社について少し理解出来るかも。2014/03/13
miyatatsu
11
非常に臨場感があって面白かったです。2019/05/11
RIN
9
1977年に破綻した安宅産業という商社をモデルにした企業小説。 10大商社の末端にいた企業が1年余りであれよあれよと傾いていくのには驚きだが、国際社会での日本の地位の低さ、信用のなさといったら、ほとんど詐欺にあったようなものでは?40年近く前の話だが、それ以後の日本は経済大国になってバブルが崩壊して継続する「失われた10年」。一人が社会人人生を全うする年月も業界や企業の浮沈が持たないとは…。とかなんとか、昔の経済小説を読むといろいろ考えさせられます。2012/02/20
go
7
面白かった。読み応えすごい。石油のこととか全く知らず原油が製油所で精製されるとかもわかってなかった自分でも楽しめたのはそんな書く?ってくらい詳細な説明があったから。登場人物もそれぞれ色があり面白かったです。2021/03/13