出版社内容情報
飛鳥文化をめぐる清張古代史ミステリーの代表作。
飛鳥の石造物群は、古代ペルシアの神殿の一部なのか。若き女性考古学者が挑む、古代遺跡の謎と、嫉妬と陰謀がうずまく学界の闇!
内容説明
新進の考古学者・高須通子は、石造物の調査のために訪れた奈良で、殺傷事件に巻きこまれた海津信六を助ける。海津は、かつてT大史学科に籍をおく気鋭の研究者だったが、ある事情で学界を追放された過去があった。通子は、酒船石の用途を研究するうちに海津の示唆を受け、ペルシア文明との関連を調査するためイランへと旅立つ。
著者等紹介
松本清張[マツモトセイチョウ]
1909(明治42)年12月、福岡県企救郡板櫃村(現・北九州市)に生れる。53(昭和28)年「或る『小倉日記』伝」で第28回芥川賞を受賞。56年、それまで勤めていた朝日新聞社広告部を退職し、作家生活に入る。63年「日本の黒い霧」などの業績により第6回日本ジャーナリスト会議賞受賞。67年第1回吉川英治文学賞受賞。70年第18回菊池寛賞、90年朝日賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
chantal(シャンタール)
83
飛鳥の石造遺跡についての論文のため、奈良を訪れた大学史学科助手の通子はそこで通り魔に刺された男を助ける。しかし事件よりも肝心なのは石造遺跡に関する考察や、理不尽な学会の因習など。ここで通子のものとして発表される論文、斉明天皇は異宗教を信奉していたのでは?との内容は清張先生の見解なわけだよね?清張先生の古代史への並々ならぬ情熱を感じる。通子が助けた海津は若い頃は史学学会で名を馳せた人物だったが、現在はある理由から学会を離れている。その理由が下巻で明かされるのか?彼の提言でイランへ旅立つ通子の収穫が楽しみ。2021/07/03
レアル
59
両槻宮、土木事業好きの斉明天皇、石の謎。大好きな飛鳥で繰り広げられる、こちらミステリーなんですよね?ミステリー仕立ては現在の方?それとも古代の方?なんて思いながらも、古代史を専門とする女性が繰り広げられる「両槻宮の仮説」と、その仮説の疑問点を、通り魔に襲われた男性が「拾い上げる」といった構成で進められていく。そこまでたどりつく展開も良かったが、そのやりとり過程がとても面白く楽しくて夢中で読んだ。久々に良い本を読んでいる気がする。さすが清張。下巻へ。2019/02/05
Shoji
40
奈良の明日香村に存在する謎の石造物に端を発するミステリーです。明日香の酒船石遺跡は何の目的で作られたものなのか。両槻宮の施設の一部であったのか、祭祀施設なのか、酒や油を精製する施設なのか、、、。現地踏査していた史学科の助手は殺人未遂事件に巻き込まれます。なんだかきな臭い展開に。ミステリー好きの古代史ファン、飛鳥ファンには面白い展開です。そうでない方には少し退屈な物語かもしれません。半分眠りながらなんとか上巻を読了です。2020/09/11
姉勤
29
約45年前の作品。奈良に点在する、石の造作物。酒舟石や亀石など、目的や用途が不明なそれらを研究する、若き女学士、高須路子。フィールドワークの中で知り合った人々の中で、刺傷事件に関わり、一命をとりとめた人物が、かつて古代史に精通し学会を退いた海津だった。彼との縁から、古代日本とペルシャとのつながりを追っていく。表題でピンときていたのは、雑学は無駄にならないと感じた。2019/08/11
しーふぉ
21
歴史についての記述が多く興味ない人には辛いかも。斉明天皇の頃にイランの方から中国を経由して宗教が入って来たのではということで、下巻ではイランに飛ぶようだ。2019/03/30