文春文庫
陸行水行―別冊黒い画集〈2〉 (新装版)

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  • サイズ 文庫判/ページ数 343p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784167697112
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

私が宇佐で出会った不思議な男は、篤学の士なのか、詐欺師なのか?古代史の謎と推理の面白さが見事に結晶した傑作「陸行水行」。口数の少ない女が、一途に男を思う故に疎まれて悲劇に至る女心が哀しい「寝敷き」。誠実の仮面を被り、女から女へと渡り歩く男の裏の顔と破滅的な生き方を描く「断線」など計四篇を収録。

著者等紹介

松本清張[マツモトセイチョウ]
1909(明治42)年12月、福岡県企救郡板櫃村(現・北九州市)に生れる。53(昭和28)年「或る『小倉日記』伝」で第28回芥川賞を受賞。56年、それまで勤めていた朝日新聞社広告部を退職し、作家生活に入る。63年「日本の黒い霧」などの業績により第5回日本ジャーナリスト会議賞受賞。67年第1回吉川英治文学賞受賞。70年第18回菊池寛賞、90年朝日賞受賞。92(平成4)年8月死去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

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藤月はな(灯れ松明の火)

75
表題作は東大VS京大による邪馬台国説が拝めるとは予想もしていなかったので嬉しい誤算でした。真実はどうだったのか。私としては主人公が考えたようなものであればいいと思ってしまう。その方が浪漫があって救われるから。「寝敷き」はあの刑事さんが鳥越氏みたいな人だと思っていたのに前例があったからこその薮入が悲しい。そして「断線」は本当に主人公の男の性根が腹立つ。女性に寄生している癖に予想とは違うと「騙された」って・・・、何様のつもりじゃ、このヒモ!しかし、清張の作品って生活の為に日陰の暮らしをしていた女性に冷た過ぎる2018/12/17

ぶんぶん

22
【図書館】松本清張の短編集。表題作「陸行水行」は邪馬台国絡みという事で読んではいない。後の3作は傑作である。 いろいろな伏線が交わる「形」、ペンキ屋の軽口から殺人にまで発展、男を想う一途な仕草がある方法を創り上げる「寝敷き」、誠実そうな仮面の元、女から女に渡り歩くプレーボーイ、ところがどうにもならなくなって苦肉の策が綻び始めた「断線」男と女のどうしようもない悲しみを描いた傑作集。ひょんなことから証拠が出て来る、清張ドラマの細かな点ですね。それと、人と人の綾というか繋がりが、何とも言えない結論を導く。納得!2022/12/10

Nozomi Masuko

22
週刊文春に連載の4作品を収録した松本清張短編集。短編作品ながら好みの作風ということもあり、読み応えはあったかな。特に、一途に男を思うゆえに疎まれて悲劇に至る女心が悲しい「寝敷き」、誠実の仮面を被り、女から女へ渡り歩く男の裏の顔と破滅的な生き方を描く「断線」は、人間の欲深さがよく描かれていて痛快。笑。2016/05/31

浅香山三郎

11
まことにバッドエンドな作品群である。清張さんのかうした作品は、単に推理小説といふ分類をはみ出す人間の業を描いて、冴へを見せる。「形」は、レジャー開発とムラ社会、「陸行水行」は、古代史と詐欺師、「寝敷き」は、解決しない犯罪、「断線」は女を渡り歩く男の破滅を描く。悪事の真相が暴かれるか、暴かれさうにはなるが、物語は突如として終はり、ドス黒い後味の悪さが残る。正義が必ずしも犯罪を暴かないといふ終焉もある、といふ点に清張らしいリアルさが感じられた。2021/06/13

さっと

9
週刊文春に連載された「別冊黒い画集」シリーズより4編収録。表題作は古代史(邪馬台国論争)を題材にしたシリーズの中では異色作。タイトルは九州説・畿内説紛糾のタネになっている魏志倭人伝の道程の記述からとられており、歴史ロマンを堪能できる。「形」は道路会社の用地買収を拒む男の錬金術(駆け引き)と壮絶なラストがお見事。「寝敷き」は心中事件の背景にある男女関係のもつれ。これ聞き慣れない言葉だったけど、なるほど、そういう絡め方するか。「断線」はシリーズ最凶の主人公登場。ただのサイコパスやん。こっわー。2022/09/14

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