内容説明
渋谷でファイトパーティーを開き、トップにのし上がったストリートギャング雅。頭のアキとカオルは、仲間が持ち帰った大金を見て驚愕する。それはヤクザが経営する非合法カジノから、裏金強奪のプロフェッショナルの男たちが強奪した金だった。少年たちと強奪犯との息詰まる攻防を描いた傑作ミステリー。
著者等紹介
垣根涼介[カキネリョウスケ]
昭和41(1966)年、長崎県生まれ。筑波大学卒。リクルート、商社、旅行代理店勤務を経て、平成12年、「午前三時のルースター」(文春文庫)で第17回サントリーミステリー大賞・読者賞をダブル受賞。平成16年、「ワイルド・ソウル」(幻冬舎)で第6回大薮春彦賞・第25回吉川英治文学新人賞をダブル受賞
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
522
渋谷のストリートを疾走するエネルギッシュなプロット展開。面白いことは面白い。血も踊る。ただ、クライムノヴェルにせよ、ハードボイルドにせよ、そこに一抹の哀愁と含羞が欲しい。既に『午前3時のルースター』を上梓していた垣根涼介にそんなことがわかっていないはずはない。それをあえて本作では捨てたのだろう。『ヒートアイランド』のタイトルが如実に示すように、ここはあくまでも徹底したドライさが追及されたのである。カオルが抒情の部分を受け持つはずだったのだろうが、疾駆するアキと柿沢、桃井の両軸のパワーがそれを上回る。 2019/04/14
青葉麒麟
197
疾走感が凄い。自分もチームの一員になった気がしたりして(^_^)皆、お金儲けの方法をよく思い付くなぁ。2011/11/03
しんたろー
189
『君たちに明日はない』以来、2年以上も間が空いてしまった垣根さん2作目。 少し前の渋谷を舞台にチーマーたち(今は半グレ?)、地元ヤクザ、関西系ヤクザ、プロ強盗団が四つ巴で金と利権を争う物語…疾走感ある展開で個性的な面々がガッツリやり合うのが面白いし、単なるアクションに留まらずに頭脳戦の要素も入っているのでワクワク読めた。主要アウトローたちの背景も描かれているので感情移入できるし、良く出来たB級映画のようだった。もう少し色気が加味されたり素敵なヒロインがいると更に嬉しいが、続編があるようなので読んでみたい♬2019/08/08
KAZOO
181
垣根さんの本はいくつか読んでいるのですが、この本もすごい本だという気がしました。大沢在昌さんは解説で大藪春彦の再来だと言われています。現在の状況ならばそうなのかもしれません。二つの暴力団を含むよつどもえの争いです。あっという間に読めてしまいます。読んでいて女性向きではないですね。続きがあるような感じで終わっています。2016/04/18
再び読書
147
サウダージの前々作にあたる。格闘に関する記述がわかりやすい。本当にこんな冷静に対処出来るのか、とうっかり自分も強くなった様な錯覚を起こしかねない。やくざと強盗二人組を直接対決させるという荒唐無稽な物語だが、不思議と引き込まれていく。確かに大薮春彦賞を取っただけあって、銃器、車に関する専門知識が豊富な事を感じさせる説明が出てくる。またこの本ではセックス描写は控えめだが、サウダージではしっかの書かれている。まさに現代の大薮春彦と言われそうな要素は持っている。2012/08/17