文春文庫<br> 木もれ陽の街で

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文春文庫
木もれ陽の街で

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  • サイズ 文庫判/ページ数 359p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784167677053
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

戦争の記憶がまだ新しい、けれども人々の生活が徐々に活気を取り戻し始めた昭和二十六年の東京・荻窪。丸の内の商社に勤める小瀬家の長女、公子は、崩れた魅力を放つ画家の片岡と知り合い、惹かれていくが…。向田邦子をこよなく愛する著者が初めて描く、ひそやかで、けれどもひたむきな“昭和の恋”。

著者等紹介

諸田玲子[モロタレイコ]
静岡県生れ。上智大学文学部英文科卒業。外資系企業勤務を経て、翻訳、作家活動に入る。96年『眩惑』でデビュー。2003年『其の一日』で第24回吉川英治文学新人賞を受賞。07年『奸婦にあらず』で第26回新田次郎文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

KEI

34
戦後間もない昭和26年の東京荻窪を舞台にした恋愛小説。ヒロインの公子は四人兄弟の長女であり、商社の医務室に勤める生真面目な性格のお嬢さん。心優しく賢い、とても魅力のある女性である。そんな彼女が恋をした相手は崩れた魅力のある画家の片岡、強引な態度に次第に惹かれていく様、その初々しい様子が揺れる乙女心を丁寧に表していた。緑多い街の佇まい、突然起こる2つの事件、大叔母の恋平穏な暮らしにスパイスを与える。公子は何を選ぶのかと思いきや、意外な展開に。往時の佇まいや言葉使いに良き昭和の香を味わった。2025/03/16

じいじ

27
 終結に近づいてバタバタ感がみられたが、内容に厚みがあり面白い小説である。昭和26・7年の東京荻窪の6人家族、主人公は23歳の長女公子。戦後の家庭の雰囲気描写はよく描けている。向田邦子的だが、故人を敬愛する著者だけに止むを得ないと思う。公子が親のすすめる医者の卵の好青年ではなく、うらぶれた貧乏画家に恋する気持ちを、私的には親の立場としては承服できないが、本作を読みながら納得していた。デートを隠す後ろめたさ、家族への嘘が重なる罪悪感に胸を苛まれる公子の心理描写が実によく描けている。公子の言葉遣いは惚れた。2014/11/24

ぐりぐら

20
諸田さんには珍しい現代ものの恋愛小説。と言っても舞台は戦後間もない東京。今よりもずっと男女交際にも厳しい時代で恋愛の仕方や考えも今と違うとはいえ、恋をした主人公の気持ちは何ら変わりない。これはこれで良かったけれど、読んでみて、やはり私は時代小説の諸田さんの方がしっくりくる気がしました。2017/09/24

パルフェ

6
再読だった。 生い立ちや生活環境が全く違う異性への憧れ。不自由なく暮らしている子女が、自堕落で退廃的な人間にどうしようもなく魅力を感じてしまう。錯覚恋愛だから、大概実らない。 異質な世界のものに、共有と共感ができるかどうか、それが2人の間のハードルを越え共に生きられるかどうかの鍵。2020/01/18

エドワード

6
昭和26年の東京を舞台にした小説。荻窪に住む小瀬公子は、丸の内の大手商社の医務室で働いている。ある日、画家の片岡と知り合い、お互いに惹かれあっていくが…。戦後の暮らしの描写が詳細で興味深い。現代とは比べものにならないくらい恋愛に厳しかった時代。でも人の心は変らないものだ。小説中にも恋心の故に悲惨な結末に至る男女が随所に出てくる。公子の心も、現代の私達と何ら変わらぬ情熱を秘めていた。実らぬ恋であったとしても。2011/08/23

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