内容説明
第五代将軍・徳川綱吉が貞享二年(1685)に発した「生類憐れみの令」から十年。巷に犬があふれ、ついに幕府は野良犬を収容する「御囲」を作った。赤穂浪士が討入りを果たした朝、中野村の「御囲」で犬の世話をする娘・犬吉は一人の侍と出合う。討入りの興奮冷めやらぬ狂気の一夜の事件と恋を描く長編。
著者等紹介
諸田玲子[モロタレイコ]
1954年、静岡県生れ。上智大学文学部英文学科卒業。外資系企業勤務をへて、翻訳、作家活動に入る。96年「眩惑」でデビュー。2003年「其の一日」で第24回吉川英治文学新人賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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harumi
9
「生類憐れみの令」という天下の悪法のもと、御囲で犬たちのお世話係をする「犬吉」と呼ばれていた娘が主人公。興味深かったのは犬たちが実際にどのように世話されていたかが細かく描かれているところ。人間様より良いものを食べ、ふかふかの布団で寝ていたらしい。もうひとつ、赤穂浪士の討ち入りがあった日、大興奮してお祭り騒ぎだった庶民の様子も。理性のタガが外れ、犬吉も巻き込まれて大変な一日を過ごすことになる。そんな中でも自分を見失うことなく行動する犬吉は素晴らしい。最後の「おさらばだよ」もかっこ良かった。2026/05/24
moo
5
今でも作品として圧倒的人気を博す赤穂浪士であるから、当時の人気たるや、すさまじかったんだろう。逆にそのせいで全員切腹になったとも言われるし。そんな夜、全く別の戦いも。犬吉を、憐れと思うか、彼女なりに幸せだったのではと思うか。2018/02/08
mashumaro
3
歴史に名だたる悪法、生類憐みの令。犬にとっては、全くありがた迷惑この上ないですね(ーー;)我が家でもワンコを飼ってましたが、十数年も一緒に暮らせば家族と同じ。亡くなった、ましてや殺された後の犬吉のやり場のない哀しみは、今でいうペットロス、切ないほどわかります。犬の臭いや吠える声、手を舐めたり、すり寄って甘えてくる仕草など、五感に訴えかけてくるようでした。最後に生きる希望を取り戻した犬吉、人間を立ち直らせることができるのは人間だけなんですね。清々しいラストでした。2020/02/21
fukufuku
3
赤穂浪士の討ち入りがあった日の夜に、中野のお犬様のお囲いで起きた出来事。 そういえば、生類憐れみの令で町人武家等の苦労はよく聞くけれど、中野のワンワンvip roomがどんな風になっているかはあまり気にかけてこなかったなと読みながら思う。 なかなか興味深い。2017/10/07
星落秋風五丈原
2
魔女達が集まるという狂乱の一夜、「ワルプルギスの夜」というのが、 もし日本にあったとしたら、こんな夜に違いない。 但し、本家ワルプルギスの夜は4月だったが。 その夜は、元禄15年12月15日。撩乱という、何とも派手やかな言葉で 語られる、元禄文化が花開いたこの時代。人々は、生類憐れみの令という 悪法に苦しんでいた。ちょうどその頃、 同じ思いを抱えている男達がいた。お上による一方的なお裁きで、 御家とり潰しとなった浅野家の元家臣、そう、後の赤穂浪士達である。2004/03/27




