出版社内容情報
幼なじみの雄大と宙ぶらりんの関係を続ける仁絵。2人の恋愛の行方は? 人生の岐路にたたされた女たちを勇気づける暖かなエール。
内容説明
デザイン会社に勤める悠木仁絵は35歳独身。いまの生活に不満はないが、結婚しないまま一人で歳をとっていくのか悩みはじめていた。そんな彼女に思いを寄せる幼馴染の駒場雄大。だが仁絵には雄大と宙ぶらりんな関係のまま恋愛に踏み込めない理由があった。二人の関係はかわるのか。人生の岐路にたつ大人たちのラブストーリー。
著者等紹介
角田光代[カクタミツヨ]
1967年神奈川県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。90年「幸福な遊戯」で第9回海燕新人文学賞、96年『まどろむ夜のUFO』で第18回野間文芸新人賞、98年『ぼくはきみのおにいさん』で第13回坪田譲治文学賞、『キッドナップ・ツアー』で99年第46回産経児童出版文化賞フジテレビ賞、2000年第22回路傍の石文学賞を受賞。03年『空中庭園』で第3回婦人公論文芸賞、05年『対岸の彼女』で第132回直木賞、06年「ロック母」で第32回川端康成文学賞、07年『八日目の蝉』で第2回中央公論文芸賞、11年『ツリーハウス』で第22回伊藤整文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さてさて
290
主人公・仁絵の成長を見るこの作品。それは、この世に生きる数多の人たちが、それぞれの人生で、それぞれの生き方の中で小さくとも大切にしたいと思う、何かしらのこだわりを持ちながら日々を歩んでいく様を見る物語でした。決して大きなことが起こるわけではなく、三十代の一人の女性の一年の日常を切り取ったこの作品。一層目と二層目にそれぞれ描かれるさまざまな”愛のかたち”を見事につむぎあげる鮮やかな結末に角田光代さんの上手さを感じさせるこの作品。静かに淡々と描かれる物語の中に、人の心の機微を強く感じさせる、そんな作品でした。2022/03/02
yoshida
239
35歳で独身。人生の岐路に立つ大人達の恋愛事情。私も晩婚なので何となく手に取りました。色々なケースが出てきまし。過去の恋愛で辛い体験をしている仁絵と幼馴染みの雄大。付き合っているのか定かでない珠子。長年不倫している、鹿ノ子。別居のすえ離婚を選ぶラジオパーソナリティーの竜胆美帆子。それぞれの選択があり現在がある。過去は変えられないが未来は切り開ける。私も過去に25歳迄にお互い独身だったら、なんて話していた相手もいたが一緒にならず。結局、その時の考えや状況で変わるもの。自分の経験も重ねられるリアルな作品。2015/05/17
masa@レビューお休み中
215
始まりから終わりまで、ここかしこでラジオが流れる。それは、会社の事務所であったり、町の洋食屋であったり、タクシーや病室のベッドであったりもする。ラジオはどこにいても聞くことができる。何をしていても流すことができる。一生懸命聴くこともできるし、聴きたい話だけ耳を傾けることもできる。年齢も性別も職業もバラバラな人々が同じラジオ番組を聴いている。これは単なる恋愛小説ではない。人生の物語であり、ヒューマンドラマなのだ。だから、恋にときめくのではなく、人生に感じいりたいと思っている人に読んでほしいと思ってしまう。2014/07/07
ミカママ
185
角田さんの小説は大好きでほとんど読んでるけど、これは...!だめです、反則です。(最大級の褒め言葉) 最初から最後まで心臓をグラグラ揺すられる感じ。それでいてめちゃくちゃ読みやすくて。ガールズ3人+ラジオパーソナリティ(これも女子)、4人4様の恋+人生ストーリー。結婚生活がたのしい人もたのしくない人も、つらい恋をしている人もしていない人も、ぜひご一読を。2014/07/13
団塊シニア
130
角田作品の魅力は解りやすい言葉のなかに光る言葉が必ずあるところです。珠子と仁絵の会話、「見つめあう夫婦っていないのかな」「見つめあってたら生活できないんじやないの」このフレーズが好きです。2013/10/21