出版社内容情報
角田 光代[カクタ ミツヨ]
著・文・その他
内容説明
転校生じゃないからという理由でふられた女子高生、元カレのアパートに忍び込むフリーライター、親友の恋人とひそかにつきあう病癖のある女の子、誕生日休暇を一人ハワイで過ごすハメになったOL…。どこか不安定で仕事にも恋に対しても不器用な主人公たち。ちょっぴり不幸な男女の恋愛を描いた短篇小説集。
著者等紹介
角田光代[カクタミツヨ]
1967(昭和42)年、神奈川県に生まれる。早稲田大学第一文学部卒業。90年、「幸福な遊戯」で海燕新人文学賞を受賞してデビュー。96年、「まどろむ夜のUFO」で野間文芸新人賞、98年、「ぼくはきみのおにいさん」で坪田譲治文学賞、「キッドナップ・ツアー」で99年、産経児童出版文化賞フジテレビ賞、2000年、路傍の石文学賞を受賞。02年、「空中庭園」が第128回直木賞候補となり、同作で03年、婦人公論文芸賞受賞
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ミカママ
335
七夕の今宵に読み終わったという、このタイミングの良さ。みんな、ツラい恋をしてるなぁ。あたしは、あたしの大好きな人たちと、いつまでも幸せに繋がっていたい、と思わせてくれた短編集。2016/07/07
さてさて
211
何かとびっきりのハッピーエンドが待っているわけでも、どんでん返しから来る大胆な結末が待っているわけでもないこの作品。地味な景色の中に埋もれてしまうような、それでいて、主人公に自分を重ね合わせられるようなそれぞれの人に合う物語がここにある。『もし、この物語のなんでもない光景のひとつが、読んでくれた人の記憶に、するり、と何くわぬ風情でまぎれこんだらいいな、と願っています』、と語る角田さん。どこか冷めたようで、どこか淡々としていて、それでいて確かな熱量を持った不思議な空気感の漂う短編集でした。 2020/12/27
masa@レビューお休み中
173
誰かにとってのいとしい人。それは、必ずしも自分にとってのいとしい人とは限らない。仮に自分にとってのいとしい人だとしても、相手は自分のことなんか何とも思っていないかもしれない。何とも思っていないどころか、存在すら知らないかもしれない。悲しいけれど、そんな片思いは、ありふれた日常の中でいたるところで起こっている。彼氏にふられた女子高生は全国転校生友の会に参加し、元カレのアパートに忍びこんでポスターを取りに行く女がいたり、姉の娘の世話を彼氏と一緒にしたり…。不幸な事情を抱えた主人公たちのグニャリとした物語たち。2015/06/20
ケイ
138
恋愛についての短編集。恋愛小説は苦手なものの、珍しく、素直にいいなと思う。主人公たちが恋愛から立ち直らなければならない場合の短編が多いが、みんなが少しずつ立ち直る様子に共感する。特に、転校生の話、表題作、そしてジミヘンのポスターを取り返す話。枡野さんの解説…、というか解説になっていない、一方的な角田光代への想いがこの文庫を柔らかくうまく終わらせているようだ。マリー・ローランサンが描いたシャネルの絵がこの短編集に似合う気がする。2016/06/08
ゴンゾウ@新潮部
105
この短編集には仕事も生活も恋愛も器用にできない不安定な男女が登場する。彼らの所々に見せる不器用さが 自分にもあったりする。だからかなとても共感してしまう。誕生日休暇とてもよかった。2017/10/01