内容説明
自分が住んでいる町で道に迷い、路上で詐欺にひっかかり、飛行機が嫌いなのに海外旅行に出かけてしまうカクタさん。騙されても理不尽な目に遭っても自らの身に起こった事件を屈託なく綴るエッセイ集。そのボケッぷりとユニークな発想は、少女時代から大炸烈!大人になってよかった、と思える一冊です。
目次
わたしの好きな歌
人を喜ばせるプロフェッショナル
記憶の食卓
「引っ越しました」最新版
これからは歩くのだ
記憶力塾
ネパールの友達
十数年後の「ケンビシ」
透けていた
バスの中〔ほか〕
著者等紹介
角田光代[カクタミツヨ]
1967年、神奈川県に生まれる。早稲田大学第一文学部卒業。90年、「幸福な遊戯」で海燕新人文学賞を受賞してデビュー。96年、「まどろむ夜のUFO」で野間文芸新人賞、98年、「ぼくはきみのおにいさん」で坪田譲治文学賞、「キッドナップ・ツアー」で99年、産経児童出版文化賞フジテレビ賞、2000年、路傍の石文学賞を受賞。02年、「空中庭園」が第128回直木賞候補作となる
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
pino
150
角田さんは方向音痴。私もその部類なので彼女のアドバイスにしたがって「犬印」ならぬ「角田印」を頼りに、この本を歩くように読んだ。目撃した角田さんは透けたり騙されたり。驚いたのは「あるくのだ」のきっかけになった老夫婦の妄想だ。予想外の展開はかなりのショックだったろうに。何だろう。彼女の天然ぷりがこちらの衝撃を和らげてくれた。彼女はダメージを埋めることより先に進むことを選ぶ人なんだろうな。ふんわりとした空気を纏い子供のような好奇心をもってこれからも何気ない風で歩く人なんだろう。ずっと変わらないのも才能だと思う。2014/12/16
ゴンゾウ@新潮部
100
クールでおとなしそうな印象の角田さん。エッセイを初めて読んでいろいろな角田さんに出会えました。忌野さんが好きなロックな角田さん。泣かない子供だった角田さん。なぜか喧嘩と遭遇する角田さん。騙されやすい角田さん。こんなに自分をさらけ出してとても素敵な角田さん。2016/07/14
チョコ
68
角田光代さん、やはり面白い。人によって感じ方が違う話しがいくつかあったけれど、歯医者合宿の話が面白かった。私も合宿派だなあ、人によるんだなぁ、と。思い違いの友人の話もわかるなぁ、と思ったり。幼稚園時代の角田さん、痛いと言えない、そうか。そういう子どももいるんだろうな、と勉強になった気分。解説も面白かった。だから文庫版って好きなんだよなーっと思います。2023/06/30
ばう
67
★★★角田さんのエッセイを読むといつも私が彼女の小説を読んで勝手に作り上げた角田光代像があっさり壊されてしまう。それがまた心地よいのだ。よく知る町でも迷子になり、詐欺に遭い、ちょっとした事件によく遭遇し、明け方近くまで友人と飲み、深夜の街を気持ちよく歩く角田さん。同じ景色を見ても多分私には見えないものが沢山彼女には見えているのだろうなと思う。危なっかしい部分もあるけれど実はしっかり地に足をつけて歩いている、そんな角田さんが好きだ。巻末の「あとがきにかえて」、三浦しをんさんの解説もとても良かった。2023/10/16
だまだまこ
60
角田さんのエッセイは、仲の良い友達の話を聞いてるような親近感を感じる。ほっこりしたり、ふむふむと思ったり、時に笑えたり。自分でも変わってるという角田さんは、迷子にばかりなるとか、子どもの頃は全然泣かなかったのに今は怒られるとすぐ泣いてしまうとか、面白エピソードばかり。そして、三浦しをんさんの解説がまた爆笑。明るい気分になって読み終えた。2019/04/25
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- 和書
- 不夜城 角川文庫