内容説明
光彦は、飯島老人殺害事件を調べるうちに、八幡神社と特攻隊を巡る因縁に辿りつく。一方、美由紀の婚約者である文部省官僚の松浦は、サッカーくじ法案に反対し、高知県へと飛ばされる。そこでは法案に反対する人物の周囲で、不可解な事件が…。戦争と戦後教育を通じて、この国のかたちを改めて問う著者渾身の大河巨編。
著者等紹介
内田康夫[ウチダヤスオ]
1934年、東京生まれ。コピーライター、テレビCM制作会社経営を経て1980年、「死者の木霊」でデビュー。以後、文筆活動に入る。軽井沢在住(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Taka
38
お風呂で一気読み。今回は事件の背景に大きな思想が貫かれていて読み応え充分でした。八幡社に所縁を持つ8人の戦友を中心に事件が展開して行く。東北、関東、北陸、関西、中国、九州を股にかけて浅見光彦が大活躍。うん、面白い。2019/09/19
十六夜(いざよい)
13
殺された飯島が八幡神社を巡った理由はなんだったのか?事件を追う浅見光彦は老人の閉ざされた半生と癒えることのない戦争の傷痕に胸を痛める。時代も場所も超えて、前巻とは打って変わって頑張る光彦。色んな場所ならではの話や蘊蓄が聞けるのもこのシリーズの魅力的な所。壮大な話だっただけに、最後が少し尻すぼみな感じがしたが、十分楽しめた。2019/06/30
クルミ
10
八幡神社。先を見透せる巫女。終戦の頃の出来事が、サッカーくじの事から明るみになっていく。戦争と戦後教育を通じてこの国のかたちを改めて問う。と言う事ですが、何だか難しい。サッカーくじ法案一つで、何人もの人が殺されてしまう。そうまでして通そうとする法案に正義は有るのか?最後は天罰が下った様な。浅見光彦の推理がやはりすごいと思った。2023/07/11
hana吉
3
義父に薦められ、初 浅見光彦シリーズに着手。思いの外、歴史的背景やご自身の思想思考を細やかに描いていて、テレビシリーズしか知らない私には驚きでした。あとがきにあったのですが、登場した舞台の都道府県の地方新聞からの依頼で出来上がった物語ということもあって、アチコチ日本中飛び回る主人公の姿は興味深かったです。私は特に宗教家ではありませんが、物語の結末、納得の一言です。2016/01/12
如雨露屋
2
秋田に高知、広島、兵庫、熊本、石川と浅見さんメチャメチャ移動してました。特に秋田と高知はいったい何往復したんだろう。日本はこのままで本当に大丈夫なんだろうか…と考えてしまった。あのとき美由紀の見た火柱がまさかこんな形で現れるとは…2015/07/08