内容説明
アラハバキ神の祟りを思わせる死と相前後して、一人のお遍路の女性が殺されていたが、そのお遍路さんと八荒神社の巫女に接点があったことがわかる。そこに隠された真実を探り当てたとき光彦は、神をも嘲笑うような人間の底なしの業に翻弄される…。長編旅情ミステリーの傑作、待望の文庫化。著者による書下ろし自作解説つき。
著者等紹介
内田康夫[ウチダヤスオ]
1934年、東京生まれ。コピーライター、テレビCM制作会社経営を経て1980年、「死者の木霊」でデビュー。以後、文筆活動に入る。いまや国民的“名探偵”である浅見光彦は第3作目の「後鳥羽伝説殺人事件」で誕生。以来、大変な人気を博し、ファンクラブ“浅見光彦倶楽部”の入会者数は2万人にのぼる。2006年4月刊の「棄霊島」(文藝春秋)で百番目の事件を見事解決した。著作は浅見光彦シリーズのほか、“信濃のコロンボ”こと竹村警部シリーズなど多数で、100冊を超える。発行部数は、1億部を突破。軽井沢在住(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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HANA
64
下巻になると「東日流外三郡誌」を巡る真贋論争やオカルト等は完全に蚊帳の外に置かれ、人間関係だけがひたすらクローズアップされる。それに比して読むこちらのテンションも下がる事に。あとシリーズに共通する事だけど、事件が論理ではなく偶然と直感だけで進んでいく点があるけど、今回特にそれが際立ってるな。ある女性と事件を結びつける点がある一点だけだけど、それからそれを連想するのは余りにも無理があるような。上巻で出てきた題材が題材なので怪奇浪漫溢れるミステリを期待していましたが、やはり徹頭徹尾いつもの著者の作品でした。2023/01/16
suika
6
八荒神社の宮司は神職でありながらとんでもない奴でした。コイツが諸悪の根源なんですよ。内田作品には珍しくあるトリックが使われているのですが、ちょっと偶然が強すぎるかな。宮司の被害に遭った女性が多数いるのだからもっと上手く利用できそうな気がします。浅見は事件調査の過程で、ヒロイン・神尾容子にまつわるとある秘密を知ることになりますが、容子に真実を告げなかったのは、浅見の優しさでしょうね。プロローグとエピローグは共に容子がウミネコの生息する蕪島を訪れるシーンなのですが、特にエピローグのシーンが印象的でした。2017/01/21
sarie
6
ラストは警察の活躍しない曖昧系の物語でしたが、題材のアラハバキ伝説に惹かれ面白かったです。2016/01/11
かのこ
3
後半、何十年にもわたる複雑な人間関係が浮き彫りになってきて、事件は思わぬ方向へ。切ない結末でした。2014/12/13
kama
1
★1/2 もう無茶苦茶。2014/03/27