文春文庫
前日島〈上〉

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  • サイズ 文庫判/ページ数 373p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784167661519
  • NDC分類 973
  • Cコード C0197

内容説明

時代はバロック。主人公の名はロベルト。1643年、枢機卿の密命を受けて乗りこんだ船が南太平洋で難破、命からがら流れついたのは美しい島の入り江にうち棄てられた無人船「ダフネ」だった―知の巨人・エーコはこの無人船を一瞬にしてバロック世界と化す。『薔薇の名前』、『フーコーの振り子』に続く世界的ベストセラーの傑作。

著者等紹介

エーコ,ウンベルト[エーコ,ウンベルト][Eco,Umberto]
1932年北イタリア・アレッサンドリアに生れる。ボローニャ大学教授(記号論)。80年、初の小説「薔薇の名前」が世界的なベストセラーになり、「前日島」は20世紀最後の作品として話題をよぶ

藤村昌昭[フジムラマサアキ]
昭和22(1947)年大阪生れ。大阪外国語大学教授(南欧地域文化)。元NHKラジオ「イタリア語講座」講師
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Kircheis

288
★★★☆☆ 難破船ダフネに流れ着いたロベルトの過去の話と難破船での出来事が交互に描かれる。 サスペンス的な雰囲気があるが、ロベルトもまだ完全な狂人というわけでもなさそう。もし夢オチなら怒ってもいいかな? これまでのエーコの作品の中では、読みやすい方だと思うが、それでも難解な部分も多く、読者を選びそうな気がする。2022/07/12

syaori

73
時は17世紀、欧州各国が〈新世界〉と〈最新世界〉の富と知識を求めて競っている時代。舞台はその最新世界の南半球で、主人公は難破して無人船に漂着した人物。眼前に島はあれど上陸用の小船がなく幽閉状態となった彼の現状に過去が絡まりながら物語が進みます。そこから浮び上がるのは当時の世界の様相で、自然科学と超自然(オカルト)が入り混じり、世界は原子で構成されている了解の下、神を懐疑したり信じたり、様々な異質な見識が「複雑に絡みあった迷宮」・混沌に田舎出の彼でなくとも眩暈がしそう。彼が南半球に来た経緯が判明して次巻へ。2023/11/14

中島直人

9
なんか不思議な作品。違和感ありまくりで、イマイチ感情移入出来ない。下巻からの盛り返しに期待する。2016/06/25

roughfractus02

8
ダフネという難破船の中で、ソレルが巻き込まれる宮廷の陰謀、ウィリアム・ウィルソンの分身体験、ガリバーの航海記、ロビンソンの漂流物語を思わせる人生を語る主人公の饒舌は、その装飾過多的なバロキズムの手法によってトリストラム・シャンディを思わせ、読者が回想の真実性を疑う契機となる。ニュートン誕生の1643年を舞台とする本書は、近代の小説形式が妄想から現実を生む装置であると強調する一方、アポロンから逃げるダフネという時間に関わる古代の神話を仄めかし、日付変更線を自然な時間として刷り込む近代の人為操作を露わにする。2019/02/03

Foufou

5
装丁がまず美しい。原典のそれがどうかは知りません。邦訳版の装丁の楽しさは、この本の内容そのもの。博覧強記のエーコならではの遅滞は相変わらずあるものの、もうそれ自体が楽しくてしょうがない。翻訳もだから生き生きとしています。時は17世紀バロック時代。「共感の粉」なる怪しげな科学で大航海時代以来の経度の問題を解決するですって? 虚仮の一年岩をも通すではないけれど、様々な似非科学が跋扈するヨーロッパは本当に面白い。そして怖い。似非科学を根拠に大量の人が死ぬわけですから。小生もダフネに揺られていざ下巻へ。2018/11/11

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