文春文庫
腦病院へまゐります。

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  • サイズ 文庫判/ページ数 165p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784167656706
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

青蓮

99
読友さんの登録より。タイトルにも惹かれて読みました。表題作は旧仮名遣いで書かれているので、慣れるまで読み辛かったけれど、作品の雰囲気を高める演出としては良かったと思います。カフェーの女給をしていた人妻の「私」は谷崎潤一郎を敬愛するサディストの帝大生と出会い男女の仲になるが、二人の閨房は想像を絶するものだったーーSMやスカトロプレイの描写はなかなか刺激的。混沌とした男女の愛憎が巧みに描かれていて、とても惹き込まれました。併録の「カタカナ三十九字の遺書」も女の情念を強く感じさせる作品で面白く読みました。2017/11/06

s-kozy

58
「もしかして40代?」コミュで話題沸騰の本書、中編2編を収録。旧字旧仮名で書かれた表題作は「タブーのない快楽追求、罪悪感のないあっけらかんとした変態ぶり」(解説より)がジメッと表現されている。我が身を省みてここまで突っ込めないなと思いつつ、この半端ない一途さ加減がおぞましい。もう一作の「カタカナ三十九字の遺書」の救いようのない世界観に暗澹となる。こんな男女関係もあるのねと男と女の関係の幅広さに読んで満足している、そんな40代。「言葉や知識を器用に扱えると信じるやつほど醜いものはない」(143頁)。2015/02/12

はちてん

32
表題と表紙写真に甚だしく琴線を震わせるものがある。脳病院というフレーズから目が離せない。旧仮名遣い風の手紙形式の文体は、ゲスなエロではないよ、だって谷崎をリスペクトしているのですものってことか。私は文学的SM小説がほんの少ししか存在しないと思う。主人公は愛人『おまえ様』に疑心暗鬼でありながら、ここまでされるのは愛故か文学へのオマージュかと悩み、脳病院へまゐりますの決心に至る。谷崎を読んだときのような、ある種の爽快感に似た満足はなかった。98年の文學界新人賞受賞作、芥川賞候補にもあがったそうだが、エログロS2014/04/29

James Hayashi

28
文學界新人賞受賞作。2編の中編。究極の情痴文学と言ってしまえば聞こえは良いが、SMの世界である。それを旧仮名づかいで描写しているのでエロさを感じさせず変態感が強く浮き出ている。もう1つの「カタカナ〜」は現代表記であるが、こちらも女性目線で情愛を語るが、かなわぬ愛でありストーリーに深みがあり読み応えがあった。 オンナの情念を感じる作品であるが、両作品とも文学と強く感じた。どちらも芥川賞候補作となった。2016/12/28

えも

23
「昭和初期、濃密な男女の情痴世界。愛する男から虐げられつづける女にとって、魂の救済とは何だったのか」▼てなわけで、平成10年に書かれた旧仮名旧漢字の変態文学はSMでスカトロで、もう大変▼読友さんのレビューで手に取りましたが、聞きしに勝る出来映えでドロドロに堪能しました。2017/12/25

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