内容説明
房州の西端館山辺りに香という小さな漁村がある。住所は千葉県館山市香、これだけ。たいした海水浴場でもなく、観光名所もないうえに、コンビニだって当然ない。三十数年前にこの見事なほどになにもない土地に魅せられて、ついに漁師になってしまった著者が綴る、何もないけど豊かな海辺の暮しの日々。
目次
ゴンズイ汁
海辺の売店
マンボウの刺身
アナゴ突き
初めての漁師
山海丸の親方
料亭に行く魚
サザエの傾向と対策
二キロのアワビを剥ぐ
「あじょうですかい」〔ほか〕
著者等紹介
岩本隼[イワモトジュン]
1941年、満州生まれ。東京大学文学部仏文科卒業。TBS、テレビマンユニオン、週刊誌記者等を経て、現在、漁業、農業との3足のわらじの生活
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感想・レビュー
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こぺたろう
14
房総半島の先にある香(こうやつ)の海に魅せられて、漁師の暮らしを送ることになった著者。都市には都市の良さがありますが、本書を通じて、漁村の良さを再認識。私も10年ほど前まで漁村で生活していましたが、漁獲物を見て季節を感じていました。またいつか、あの頃の暮らしに戻りたいなあ。2020/04/26
すぎえ
3
日本の漁村ってまだまだかなりの辺境地だ。本作品は香(こうやつ)の海に魅せられた著者が編集や翻訳業をおこないつつも鄙びた漁村に移住し、根を張るなかでの村民のくらしぶりがつぶさに描かれている。漁村や港、魚になじみがあったので情景や人物描写がとても鮮やかに浮かんできた。しかも本作品はとても読みやすかった。情景から読者に想像をさせる書き方でしかも考え方とかがおしつけがましくない。かなり個人的なツボにヒットだった2009/09/29
sataz
1
医者の待ちに再読。館山の香(こうやつ)60年代から80年代へ、出版業界勤めながら臨時漁師を続けている著者。初読は2000年代初めだと思うが、雰囲気良し。2021/09/04
yamakujira
1
都会を離れて、南房総で漁師になった著者。「こんな生活がしてみたい」とうらやましいけれど、「こんなことはヤだな」ということもあり、現実の厳しさを教えてくれる。 (★★★★☆)