内容説明
修道院で育った汚れなき乙女フランチェス子のオ×××に人面瘡がデキた!「お前はダメ女だ」と朝な夕なに罵倒する人面瘡を、けなげにも“古賀さん”と呼んで共同生活をするフランチェス子の運命やいかに?極北の笑いと奇想天外な物語の裏に、現代人のジェンダーを見つめる醒めた視線が光る、著者の代表作。
著者等紹介
姫野カオルコ[ヒメノカオルコ]
1958年生まれ。青山学院大学文学部卒業。1990年『ひと呼んでミツコ』で単行本デビュー
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感想・レビュー
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遥かなる想い
97
自分の肉体に人面瘡ができた女性の物語である。人面瘡である古賀さんとの共同生活で 何を描こうとしたのだろうか? ひどく奔放で 軽い筆致で フランチェス子の 不思議な日々を描く…エロス満載だが、 なぜか投げやりなフランチェス子の潔さが 心地よい。まるで大人のお伽話を読むような、 男と女の風変わりな物語だった。2024/05/03
ehirano1
93
「打ちのめされるようなすごい本(米原万里)」から本書へ。抱腹絶倒の凄い本デス!設定からして前代未聞且つ衝撃(笑劇)的。しかし随所にハッとさせられます。解説で米原万里さんが本書の魅力をなんと12項目に渡って具体的に記載されていますが、いちいち頷いてしまいました。本書は良書かもしれません。2018/04/14
ehirano1
83
「“つきあう”というのは、すべての会話を、「あ、なんかちょっといいみたい」「なんかすごくきらいみたいな」「なんだかよくないっていうか」「うーん、わかんないけどわかるような気がする」くらいですませることである。相手の人格の深い部分にまで入り込もうとしないこと、入り込まれるほどの人格を所有しないこと、これが「つきあう」だ(p147~148)」。なるほどね。後半の人格云々の部分は、社会における“つき合い”にも同じことが言えるのではないかと思いました。2021/10/03
ehirano1
73
「人間は努力して泣かないようにしなくてはいけない。人生を気持ちよくやっていくように努力しなくちゃいけない。でも、女だって男だって泣きたいときはあるわ。そいうときは泣いてもいい(p245)」。素直に生きろってことですよね。松下幸之助の「素直」が思い出されました。2021/01/10
ehirano1
58
“遊女の羽飾り”と映画『恋におちて』をリンクさせての考察(「悩んでるんじゃないの。悩みを見せびらかしているの。(p127~130)」)がとても興味深いモノでした。ここまで読み解けるのは流石だと思いました。勉強になります。2019/01/06