文春文庫
灘の男

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 文庫判/ページ数 216p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784167654085
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

出版社内容情報

「粋で、いなせで、権太くれ」。強くて情に厚くちょいと悪い、それが灘の男の真髄だ。実在の人物をモデルに描く破天荒な男の一代記ほか。

内容説明

古来、日本では、“悪”は、“強”という意味をもっていた。そんな“悪”の魅力にみちた「粋で、いなせで、権太くれ」な男こそ灘の男。実在した二人の男の破天荒な生涯に材をとった「灘の男」のほか二篇を収録。私小説の名手が新境地をひらいた、聞き書き小説の精華。

著者等紹介

車谷長吉[クルマタニチョウキツ]
昭和20年、兵庫県飾磨市(現・姫路市)生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。広告代理店、料理屋などで働きながら小説家を目指す。平成5年『鹽壺の匙』で、三島由紀夫賞と芸術選奨文部大臣新人賞、平成9年『漂流物』で平林たい子文学賞、平成10年『赤目四十八瀧心中未遂』で直木賞を受賞。平成13年には「武蔵丸」で川端康成文学賞を受賞した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ω

34
車谷先生が私小説を書くのをお辞めになった後、2005年頃の作品。先生独特の凄みは感じられるが、胸をえぐるような痺れはなかったω 私小説は血を流す、命を削るというのを再認識。この作品集は穏やかであった。2021/08/10

シュラフ

21
この短編集なかなかよい。表題の「灘の男」は戦後を事業家として駆け抜けた濱長はんと重たんという灘の男ふたりが登場する。気性が荒いといわれる姫路の男のイメージそのままで、直情径行でその飾り気のない生きざまは魅力的である。「今日の過大な人権尊重と民主化のはてにあるのは偽善である。濱長はんと重たんにも、偽善はかけらもなかった。二人とも日本の中世の能狂言に出てくる悪太郎。日本古来から悪太郎とは強い男である。だからユーモアがあって、魅力的なのだ」、車谷が書く最後の一文がすべてだと思う。今の時代にはいない男たちである。2015/12/26

tom

4
聞き語りのスタイルで延々と話が続くのだけど、これはこれで妙に面白い。姫路で3年間暮らしたことがあるので、知っている地名がいろいろ出てきて、これも面白い。姫路にこういう人が本当にいたのかしら、「そうなの、ほんとうにそんな人がいたの?」と読み続けた。内心に激しさを秘めた人たちが登場して、本当っぽいから、気になる話だった。こういうスタイルの本もあるのだ。2011/07/13

YO)))

2
傑作。播州弁が在り在りと聞こえてくる、ライブ感溢れる筆致で記された聞き書き小説。私小説家の筆が描き出した、或る他者の私小説、とも言えようか。当人の発言や周囲の人の証言を通して、灘の男の気性=権太くれを体現したかのような二人の男の侠気溢れる生きざまが、リアリティをもって活写されていく。芳醇にして強力な語りの力を存分に味わった後では、最後の段落の作家による大仰なまとめは、蛇足にすら思えてしまうほどだ。(大体、この作家の私小説に屡々出てくる「畢竟人生とは~である」みたいな決め台詞も、たいがい蛇足だと思ってます)2013/04/14

りエナガ

0
「灘の男」灘七村の男たちは昭和40年代の工業高校みたいな荒くれ者の集団だった!そこで育ち皆をまとめ事業を興した長蔵さん重太郎さんには、極道でも頭が上がらなかったらしい。大正から昭和の激動の時代だから許された生き方だったのかもしれない。喧嘩の哲学など他人とのぶつかり方が極端すぎて怖いけれど(大声で威嚇し、どつきまわす)、二人とも自分より弱い人を守っているところがカッコいい!2016/07/31

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/2413292
  • ご注意事項