内容説明
「私」はアパートの一室でモツを串に刺し続けた。向いの部屋に住む女の背中一面には、迦陵頻伽の刺青があった。ある日、女は私の部屋の戸を開けた。「うちを連れて逃げてッ」―。圧倒的な小説作りの巧みさと見事な文章で、底辺に住む人々の情念を描き切る。直木賞受賞で文壇を騒然とさせた話題作。
著者等紹介
車谷長吉[クルマタニチョウキツ]
昭和20(1945)年7月、兵庫県飾磨市(現・姫路市)に生れる。昭和43年春、慶応義塾大学独文科卒。広告代理店などに勤務しながら小説を書く。その後、東京を離れ、関西で下足番、料理人となって働く。平成4年に出版された初めての作品集「鹽壺の匙」(新潮社)で芸術選奨文部大臣新人賞、三島由紀夫賞を受賞。平成10年、「赤目四十八滝心中未遂」で第119回直木賞を受賞。その他、小説集に「漂流物」「白痴群」(ともに新潮社)、「金輪際」(文芸春秋)、随筆集に「業柱抱き」(新潮社)がある
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