内容説明
両親、弟妹、祖父母に曾祖母。今時珍しい大家族に嫁いだ法子を待っていたのは、何不自由ない暮らしと温かい家族の歓待だった。しかしある日、近所で起きた心中事件に彼らが関係しているという疑惑を抱いた法子は、一見理想的な家族を前に疑心の闇にはまっていく。やがて暴かれる、呪われた家族の真実とは。
著者等紹介
乃南アサ[ノナミアサ]
1960年東京生まれ。早稲田大学社会科学部中退後、広告代理店勤務を経て、88年、第1回日本推理サスペンス大賞優秀作となった「幸福な朝食」でデビュー。96年「凍える牙」で第115回直木賞受賞
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感想・レビュー
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nobby
123
なかなか後味悪く気味の悪い読み終わり。憧れて嫁いだ大豪邸に少しずつ明らかになる違和感。ある火災との関わりや庭先の植木などからの想像も越えて、何とも生々しい洗脳の過程が描かれる。はたして心配する友人や自らの疑心“暗鬼”により逸脱できるか気になり一気読み。ただ最後は血縁やら赤裸々な展開になり興醒め…ここまでは行き過ぎだろうが、解説の通り家族という名の宗教は間違いなく感じる。そして現在それが崩れつつあることも確かなこと。2016/07/18
yomineko@ヴィタリにゃん
84
お見合い結婚で曾祖母までいる大家族に嫁いだ法子。爽やかで明るい笑顔に満ちた人々には恐ろしい秘密があった。その秘密とは、、、怖い。そして法子の唯一の大親友だった和美が、、、その彼氏が、、、怖い。。。読友さんのご紹介ですがページをめくる手が止まりませんでした。2020/05/07
Tsuyoshi
84
四世代8人の大所帯に嫁いだ法子。熱烈な歓待と不自由ない暮らしの中、近所の一家心中事件における家族のやり取りや家族のあり得ない姿を目にした法子が度重なる疑心暗鬼に陥りつつ、最終的に一家に取り込まれていまう話。薬草やキノコによる幻覚を引き起こされつつ家族の絆を刷り込まれていく様や、引き込まれた法子の多幸感を見ると新興宗教で洗脳、洗礼を受ける人々のように見えて何とも言えない気持ちになった。2017/11/21
まこみん
84
資産家の大家族に望まれて嫁ぎ、幸せな結婚生活を送っていた法子。 彼女が実家に帰っている時に、隣接する店子の家がガス爆発を起こして一家全員死亡した事を知った時から、家族への疑惑が違和感として燻り続け、法子の精神も脅かされていく…最近読んだ東野さんの「夢幻花」が思い出される。何回か家族の会話の中に妙な妖しさが挟まれていたけど、後半のあの場面の家族の様は気味悪過ぎる。非常識が常識に様変わりした時、また新たなおぞましい家族史が始まる。2016/07/30
milk tea
76
法子がお見合いして嫁いだ先は、4世代8人の大家族の資産家のところだった。「法子は宝だ」と言われ何不自由なく、とても大切にされた。優しく笑顔の絶えない温かい人たち。時が経つにつれて、それが気持ち悪くらいの仲の良さと感じるようになる。近くで心中事件が起こり、この家族が関係しているのでは疑いを持ち始める。少しづつ真実がわかるにつれ、洗脳されていく法子は 本来の姿を消していく。真綿で首を締め付けるかのように、ジワジワと迫る恐怖。面白かったです。2017/08/30