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出版社内容情報
残されたのはわずか15秒。その恋の行方は――?紅玉いづきの傑作小説集。
内容説明
「梶くんとは別れようと思う」学園祭の真っ最中、別れを告げようとしている橘ほたると、呼び出された梶くん。彼女と彼の視点が交差する恋の最後の15秒(「15秒のリターン」)。ソシャゲという名の虚無にお金も時間も全てを投じた、チョコとあめめ。1LDKアパートで築いた女二人の確かな絆(「戦場にも朝が来る」)。大切なものを諦めて手放しそうになる時、自分史上最高の「ターン」を決める彼女達の鮮烈で切実な3編と、書き下ろし「この列車は楽園ゆき」「15年目の遠回り」2編収録。
著者等紹介
紅玉いづき[コウギョクイズキ]
石川県金沢市出身。金沢大学文学部卒業。『ミミズクと夜の王』で第13回電撃小説大賞“大賞”を受賞しデビュー。逆境を跳ね返し、我がものとしていく少女たちを描き、強固な支持を得ている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
よっち
47
大切なものを諦めて手放しそうになる時、自分史上最高の「ターン」を決める彼女達の鮮烈で切実な3編と、書き下ろし2編を収録した連作短編集。別れを告げようとする少女と呼び出された少年の視点が交差する恋の最後の15秒、浪人生活から現実逃避してWEBマンガを描き続けた少女、1LDKのアパートでソシャゲの虚無にお金も時間も投じた女二人の確かな絆、すぐに涙腺が緩む少年と惰性で生きる少女の出会い、合コンの女王が帰りに喫茶店に寄る意味。意味を見いだせない日々に変化をもたらした、はっとするようなきっかけが印象的な物語でした。2022/07/12
吹雪
19
書き下ろしの『この列車は楽園ゆき』が心に刺さってしまった。紅玉さんの文章はいつも、不安定な女子学生だったあの頃の気持ちを思い出させてくれるけれど、今回はそれが現実のいまにまで連なっていました。大事にしてくれて、大事にしろって言ってくれて、ありがとう。/冒頭の表題作が眩しすぎて、読み進められずに2年間積んでいたけれど、自分が30代になったいま、読めて良かった。今まで、そしてこれからも、また紅玉さんの文章が読めることに感謝を。2025/01/05
huraki
16
別れを告げようとする恋人同士の彼女と彼の視点と感情の揺らぎを描いた表題作を含む短編集。すれ違う恋、迫りくる受験に試される絆。生きている中で壁にぶつかり苦悩して、ずっと大切にしてきた何かを諦めなければならないような局面や分岐点。その時彼女たちは何を思い行動するのか?痛切でありながら瑞々しい感情と鮮やかな転換がどこまでも眩しく胸に刺さってくる。「この列車は楽園行き」が特に印象的だった。2022/06/12
グレートウォール
16
少女たちの恋や恋に似たまた別の感情を切り取り、その時代にしか感じ取れない感情をつぶさに見せてくれる小説集。全5作が描かれ、『この列車は楽園ゆき』『15年目の遠回り』は書き下ろしという、紅玉ファンには嬉しい仕様。 瑞々しさがいっぱいでこうやって全力で自分の気持ちと向き合うことってとても貴重で、大人になると心が鈍化していき、感受性はすり減るものだから、こうした作品を通じて、過去の自分の気持ちにアクセスするしかなくなる。 大人になるって、失い続けることだ。2022/06/06
まっちゃん
15
久しぶりの紅玉さんの新刊!!「2Bの黒髪」は読んだことがあったけど他は初読み。別れを告げる前後を書いた表題作もだけど、愛とも恋とも言えない「この列車は楽園行き」や1番を目指す女子2人の「戦場にも朝がくる」.15年越しの恋を描く「15年目の遠回り」など、どれもじんわり来る素敵な短編集。紅玉さんの文章はやっぱ暖かくて好き。2022/08/03