内容説明
五稜郭に霧がたちこめる晩、若侍は参陣した。あってはならない“まさか”が起こった―義士・吉村の一生と、命に替えても守りたかった子供たちの物語が、関係者の“語り”で紡ぎだされる。吉村の真摯な一生に関わった人々の人生が見事に結実する壮大なクライマックス。第13回柴田錬三郎賞受賞の傑作長篇小説。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
HIRO1970
432
⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️浅田さん40冊目。浅田版新選組は小説ですからもちろんフィクションですが、これでも良いなと思ってしまう程、史実と虚構が渾然一体となっていて素人目には全く破綻の無い、名作でした。南部鉄器ぐらいしか思いつかない岩手・青森知らずの私が作品での方言を聞いていて思い出したのは昔読んだ剣道漫画のムサシの剣でした。あれも岩手山が象徴的に描かれていましたが、努力型天才剣士であるストーリーもオーバーラップして余りストレスを感じずに作品世界に入れました。巧すぎる描写に浅田さんの才能の奥深さを感じました。2016/10/13
ehirano1
420
もうね、涙無しでは読めませんでしたよ。武骨なまでに現実を生きた漢、それが吉村貫一郎。当方はそう思いました。どうか安らかに。2021/11/13
mura_ユル活動
344
物語に引き込まれる。すごかった。「竜馬が行く」⇒「燃えよ剣」の次に読みました。結局、下巻で4回不覚にも泣いてしまいました。読書中、常に次郎衛と貫一郎、ちあきと嘉一郎の深い暖かい友情に包まれていた。2012/02/20
yoshida
290
泣き所が満載でした。時代は違えども、家族を養う為に必死で働くことは変わらないですね。私は会津若松出身なので感情移入して読んでしまう。貫一郎の自裁の間際まで家族を思う親心。長子の嘉一郎に名刀を残すため、ぼろぼろの刀で苦しみながら自裁する貫一郎。せめて南部の米を食べさせたかった次郎衛。戊辰戦争で嘉一郎は決然と立つ。秋田攻め、函館戦争に身を投じる。親が子を想うように、子も親を想う。現実的にここまで立派な人々はなかなか居ないと思う。しかし、現代でも全ての人の心の底には同じ想いが流れているはず。泣かせられました。2015/01/24
酔拳
275
吉村貫一郎の生き様はとてもかっこいい。周囲の人から、揶揄されようと、遠く離れて暮らす奥さんと3人の子供達のために、仕送りを欠かさず、奥さん、子供達のことを大切にできることはなかなかできることではないと思う。ましてや、新選組の中では、金を自分の為だけに使う人ばかりだったのだから。新選組では、剣術師範であり、教育者だった吉村。もし、吉村貫一郎のような人に出会っていたなら、私の人生にも大きく影響しただろうな。吉村が脱藩して生まれた第3子が、米馬鹿先生と言われる博士になったのは、すごすぎる運命です。2022/01/17