内容説明
五島列島から長崎に戻る飛行機の中で、朧は、つくろうとしていた王国の「王」が自分ではないことを悟る。真の王たるものは、誰か?いっぽう太郎と名づけられた朧の息子は、次第に不思議な力を見せ始めて―。『ゲルマニウムの夜』に始まる『王国記』シリーズ第五弾は、『むしろ搖り籠の幼児を』と『青い翅の夜』の二編を収録する。
著者等紹介
花村萬月[ハナムラマンゲツ]
1955年東京生まれ。中学を卒業後、オートバイで日本全国を放浪し、様々な職業に就く。1989年『ゴッド・ブレイス物語』で第2回小説すばる新人賞を受賞し、小説家としてデビュー。1998年『皆月』で第19回吉川英治文学新人賞、『ゲルマニウムの夜』(『王国記』シリーズ第一弾)で第119回芥川賞を受賞する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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uni
2
ヴィジョン。。。それは人によって色々な表現で現されるものですよね。みんな歪んでるけど人間として普通だし、花村萬月が書くとなんか歪んでる。笑。2013/03/15
OMO
1
面白さ:○ 興味:○ 読みやすさ:○ 新鮮さ:○ 文学的云々:×2021/08/05
Tメタル
1
前作に比べウイリアムブレイクの詩やらヴィジョンやらで急に難解になった。朧が父の様に慕っていたモスカ神父までが罪を犯していた。この本に出てくる糞のような聖職者に崇められている神とはいったい何なのか...宗教で人は本当に救われるのか...そもそも人は罪を犯すためだけに生きているのか...それとも罪という概念には元から意味はないのか...色々考えさせられる。ジャンが暴力の連鎖から抜け出せたのが少しだけ救いに感じた。太郎がどう成長していくのか早く知りたい。次巻を読むのが楽しみだ。2015/01/17
たなち
1
太郎が薄気味悪い…… 悲しみを「痛切」と言い直すこどもはちょっとこわい 朧のダジャレがかわいく思えた、かも2013/07/27
ひつじねこ
0
「むしろ揺り籠の幼児を」朧「青い翅の夜」ジャン。キリスト教批判からヴィジョンの話。人為的な知識や考察だけでは得られないヴィジョンはまさに選ばれた者にしか与えられない。そしてそれは言葉に直すと陳腐になる。他人からは、ただの妄想との区別ができないからだ。そんな、個人にしか感知できないものをどう他者が認めるのかはわからないが、洋の東西を問わずヴィジョンという概念は人々に受容されてきた。個人的には理解できない。また、人智を超越したものを感じたから宗教が生まれたのか、宗教が人智の超越を目指すのかもわからなくなる。2014/07/19