内容説明
アスピラントの教子とともに修道院を脱け出し、長崎・五島列島を訪れていた朧は、教子に「王国」を目指していることを告白する。隠れキリシタンの島で深く感応しあう二人に、“ヴィジョン”は到来するのだろうか?『ゲルマニウムの夜』に始まる『王国記』シリーズ第四弾は、『雲の影』と『PANG PANG』の二編を収録する。
著者等紹介
花村萬月[ハナムラマンゲツ]
1955年東京生まれ。中学を卒業後、オートバイで日本全国を放浪し、様々な職業に就く。1989年『ゴッド・ブレイス物語』で第2回小説すばる新人賞を受賞し、小説家としてデビュー。1998年『皆月』で第19回吉川英治文学新人賞、『ゲルマニウムの夜』(『王国記』シリーズ第一弾)で第119回芥川賞を受賞する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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東森久利斗
3
潮の満ち引きのように寄せては返す、雲の影から地上の世界へと差し込む光芒の如く、登場人物の言動や行動、行間に見え隠れする神の世界、神々しくも荒々しい不可侵な領域、著者の宗教観。「PANG PANG」が秀逸。2021/08/05
ひつじねこ
1
神とは何か。昔から人は神を崇め、同時にその存在を疑ってきた。それは神を「自己に対する他者」と同等の扱いをすることと変わらない。結果として多くの人は、神に対して「何処かにいるエラい人」程度の認識しか持っていなかったのではないか。しかし数少ないホントウの宗教者にとって、神とは「自分の中にあるもの」だったのだろう。自分の中にありながら自分を超越したイメージ。きっとそれを、本書ではヴィジョンと呼んでいる。そう考えると偶像崇拝禁止の意味がわかってくる。偶像になると、神が五感で認識できるものに堕ちてしまうのだ。2014/06/20
uni
1
だんだんと話が宗教の確信に迫ってるようで、じわじわ面白いし、少し敷居が高くなってきたなと感じます。日本はやはり宗教に対してどこか投げやり。2013/03/15
山一工房
0
読んだ。止まることなくぐいぐい読んだ。2011/12/03
boya
0
うーん...2010/12/30