出版社内容情報
網走のウニを食べて宮沢賢治に想いをはせ、カンボジアで塩をなめつつ、亡き祖母を思う。七つの食べ物を核にして綴ったエッセイ集
内容説明
あこがれの詩人宮沢賢治、「巨人の星」の漫画家川崎のぼる、カンボジアの大虐殺者ポル・ポト、海外への夢を与えてくれた兼高かおる、都市博を中止した青島幸男、進化論の生みの親チャールズ・ダーウィン、茅ヶ崎の和製ギンズバーグ―七人の人物へ宛てた手紙型エッセイ集。「叫ぶ詩人」の原点がここにある。
目次
イーハトーブの孤高 宮沢賢治様―“ウニ”
偉大なる漫画家 川崎のぼる様―“トンカツ”
大虐殺者 ポル・ポト様―“塩”
旅のプリマドンナ 兼高かおる様―“機内食”
東京都知事 青島幸男様―“沙魚”
進化論学者 チャールズ・ダーウィン様―“バナナ”
親愛なる茅ヶ崎の詩人 和製ギンズバーグ様―“黒鯛”
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
SigZ
1
★★★★ 追いかけるほどではないが、常に気になる存在であったドリアン助川のエッセイを見かけたので購入した。希望と絶望がないまぜになった、しかし著者の赤心が吐露された文章は読みやすいけれど、逆説的に読むのがつらい内容でもある。著者ほどの知性も行動力も感性も迫力も持たない私には、著者の抱えるイメージの大きさに度々たじろいでしまうけれど、同時にその大きさに負けないように生きねばならないという活力も与えられたのであった。詩人のエッセイとはこれくらい力強いものでなくてはならないのだと感じさせる瞠目の一冊であった。2010/11/26
hiratax
0
著名人への手紙の体裁で食べ物にまつわるエッセイが記される。カンボジアに行くにあたり思い浮かんだのは本書だ。猪木に特派員としてくっついていった著者が、ポルポトへ手紙を綴る。食材は塩。プノンペンのメコン川のほとり、ライチと揚げ春巻きに塩をふりかけ食す場面がある。同じことがしたくて市場を探しまわるも、100円ショップに売ってるような塩ボトルがない。どっさり1キロ単位だ。そんなにいらない。なんとか身振り手振りで買い求め、ライチと春巻きもゲットしコンポントムの河原で食べた。そばでは牛が草を食んでいた。旅の推挙本。2015/04/24
今庄和恵@マチカドホケン室/コネクトロン
0
著者初めての出版物のようですが、実に手練た印象。熱い気持ちを訴える人、というイメージを勝手にもっていたけど、実はテクニシャンだったのだな。2015/01/21
しー
0
まず、率直に一つの食べ物をテーマに一人の人物へ、これだけの文章を書けることにびっくり。感動。 特に、塩についての話は印象的。按配が過ぎれば、暴力となる――この言葉が残った。2013/03/08
大仏
0
著者のことは知らない。しかし洞察力に優れ人間の本質にせまるのが上手い、エネルギッシュな人だと思いました。2012/01/21