内容説明
「一番札をお持ちの方」佐吉の声で拝郷鏡三郎の一日の仕事が始まる。元は勘定方だった鏡三郎は、政争に巻き込まれていわゆる縮尻御家人となり、いまや八丁堀近くの「大番屋」の元締。欲と欲とが突っ張り合う金公事から、夫婦の揉め事、心中死体の後始末までよろず相談事が持ち込まれる。人気シリーズ第三弾。
著者等紹介
佐藤雅美[サトウマサヨシ]
昭和16(1941)年、兵庫県生まれ。早稲田大学法学部卒業。会社勤務を経て、43年よりフリーに。60年、処女作「大君の通貨」で、第4回新田次郎文学賞受賞。平成6年、「恵比寿屋喜兵衛手控え」で、第110回直木賞を受賞する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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kei302
58
婿殿三九郎と娘の知穂は相変わらず。借金踏み倒しに詐欺、大名家はどうなっているのでしょう、まったく。再読。この巻はわりと覚えていた。「思い立ったが吉日」がよかった。2021/12/28
優希
50
淡々とした印象を受けました。鏡三郎が何故縮尻御家人となったかのエピソードが語られています。そのせいか、色々な相談事が持ち込まれるのですね。2020/11/30
Hironobu
10
シリーズ第3弾。最後の「御家人花房菊次郎の覚悟」がなんとなくよかった。ライバルとして鏡三郎と切磋琢磨していた菊次郎。いつしか正反対の道に進むことになるも、ある事件をきっかけに再開する。2017/03/23
ひかつば@呑ん読会堪能中
10
前巻で長崎から戻り、身を固め大番屋元締の仕事を再開した鏡三郎。市井のイザコザを一ひねり二ひねりして解決させる数々の話は安定した面白みがあるが、スケールの大きな話も欲しいな。2013/06/27
沼田のに
4
娘の知穂は三九郎と合わないようだが、知穂のような独立心の強い女は、ちゃんとした男と一緒になってあれこれ言われるよりも、だめ男と一緒になって家庭を好きなように運営して生きていくのが性に合っていて読み手も読みやすい。いずれは恥ずかしながら元の鞘に収まる運命だと思う。しかし鏡三郎の活躍は隠居とはいわないだろう。7/102014/02/16