文春文庫
官僚川路聖謨の生涯

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  • サイズ 文庫判/ページ数 488p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784167627027
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

頼むは己の才智のみ―。徒士の子として生まれながら、底辺から這い上がり、昇りうる最高の地位まで立身を果たした幕末官僚・川路聖謨。激動の時代は才能を必要とし、それに厳しく自己を律することで応えた彼は、まさに江戸期を通じて最高の官僚だった。幕末外交史上に燦然とその名を残した男の波瀾の人生を描いた歴史長編。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

糜竺(びじく)

42
私の好きな直木賞作家、佐藤雅美氏の歴史小説で、骨太で重厚な作品でした。幕末の江戸幕府で類い稀な働きをした官僚の川路聖謨が主人公です。この人の事はほとんど知りませんでしたが、この作品を読み、官僚の視点からの幕末を知れて勉強になりました。主人公は、実父がお百姓身分でそこから御家人の養子になり、そして末端から出世を遂げて行って、旗本・御家人の昇りうる最高位の勘定奉行にまでなった人です。特に、官僚ゆえに自分の上にいる老中など(現代で言う大臣達)に振り回される悲哀をこの作品はよく描写されていました。良かったです。2014/09/03

№9

21
史実を丹念に書き起こしたのか、凄く詳細に書かれているようだが筆致に魅力がなく、川路聖謨のその人なりが描けていないのではないか。作家自らの後書きで、川路の果たした役割の大きさを賞賛しているにも関わらず、本編では単に優秀な「官僚」だった、ということが伝わるばかりで何か矮小な人物の印象しか残らなかったのは残念だ。2016/01/30

スー

17
川路聖謨は二作目になります。吉村昭さんの方は優秀な官僚でぶれず前に進む人間のイメージでしたが、こちらは優秀だが悩み時に保身の為に行動したり生活に苦労する人間臭い人物に書かれていました。ここでもやはり慶喜は残念な人物、井伊直弼は狭量な人物として書かれています。川路がペリーと交渉していたらと思うと残念ですね、幕府にはまだまだ優秀な人材がいたのにいかせなかった勿体ない。2018/04/26

桑畑みの吉

8
身分制度の確立した江戸時代に百姓身分から勘定奉行まで上り詰めた川路聖謨(としあきら)の生から死までを描いている。私は当人について全く知らなかった。ウィットと知性に富んだ人物だったらしいが本書では衰えつつある幕府の官僚として右往左往する部分が強調されている。時代のうねりの中ではいくら優秀であっても結局一個人は無力であるという無常観を感じた。さらりと描かれているがその死も衝撃的であり、○〇死の日本第一号と言われているらしい。尚、吉村昭氏も川路を主人公に長編小説を執筆している。今後読み比べをしてみたい。2020/06/07

しんこい

5
実行力があり先を見る目があると同時に分をわきまえた最高の官僚であっても、政治の側が先送りしたり無責任だとできる事には限りがあり、徳川幕府はあえなく崩壊。今も昔も変わらないようです。2013/01/04

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