内容説明
フランス革命の激動のなか、頽廃の極みにあった貴族社会でくりひろげられる性の宴。狂乱の果てに辿りついた真実の愛とは、人生とは。夫がいながら生娘のままでいる純真な令夫人を、官能の罠へ誘い込もうと企む侯爵夫人を描いた「貴腐」。性にめざめた老修道女の歓びと、快楽の奈落に沈む若き未亡人を描いた「夜食(スペ)」を収める。
著者等紹介
藤本ひとみ[フジモトヒトミ]
長野県飯田市生まれ。12年間の公務員生活を経て、作家となる。西洋史への深い造詣と綿密な取材に裏打ちされた歴史小説や、犯罪心理小説で脚光をあびている。フランス政府観光局名誉委員、アカデミー・ドゥ・カスレ名誉会員、フランス・ナポレオン史研究学会会員
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感想・レビュー
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金吾
23
表題作は当時のフランス貴族の腐臭を感じながら読み進みましたが、最後はスッキリしたと思うと革命側の行為でまた暗澹とした気持ちになりました。家を重視した武家と異なり、西洋は血統を重視すると感じていましたが、違う意味で認識を誤っていたことがわかり、平安朝みたいだなあと思いました。大陸なので血の純粋性を保持するという感覚になりにくいのかなあとも思いました。 2023/10/05
a43
14
憎まれっ子世にはばかった話と、革命のために、かわいそうなことになる老女の2編。官能小説か!と思わせるくらいアレだが。フランスの革命当時の貴族の様子なんかがとても調べこまれていて、風俗史なのかと思うほど。さすが作者さま、フランス政府観光局名誉委員(なんだそれ凄そう←)2016/08/16
ぶっくlover
6
爛れている。 ブルボン王朝の頃の貴族の実態って、こんなものだったのかー2019/06/21
めめめ
4
フランス革命時代を舞台にした中編「貴腐」「夜食(スペ)」2本収録。さすがフランス貴族というか、タイトルどおりの「高貴なる腐敗」の描写に圧倒させられる。「夜食」の主人公である老女も印象深いが、もう一人の語り手が「あの人」なのも面白い。2016/11/16
あ げ こ
3
表題作は兎も角、同時収録「夜食」の仕業で恐ろしく邪悪な一冊と化している。官能への果てしない傾倒。快楽を貪り、腐敗し尽くした貴族社会。表題作で描かれるのは自らの官能が導く恋にのみ価値を見出す貴婦人たち。悪趣味な遊びやたくらみ。胸の空虚を埋めるために快楽を貪り、気の向くまま何人もの相手と関係を結ぶ。その様は愚かであり、滑稽でもあり、悲しくもある。敗北を機に新たな世界を望む主人公の心理は極めて素朴なもの。最後の皮肉も効いている。社会の堕落した性と官能…藤本ひとみらしさ爆発の作品。感情の機微を丁寧に、多くの言葉を2013/03/14




