内容説明
異端の乱行を繰り返すサド侯爵。しかし妻ルネ夫人は、夫に愛情と真心を捧げ続けていた。不可解な夫婦関係の謎を探る助任司祭ピネル。それを監視、妨害するルネの母親モントルイユ。いったい彼らの間になにが起こっていたのか。やがてピネルがたどり着いた真相とは…。侯爵サドと夫人の関係を剔抉した問題作。
著者等紹介
藤本ひとみ[フジモトヒトミ]
長野県飯田市生まれ。12年間の公務員生活を経て、作家となる。西洋史への深い造詣と綿密な取材に裏打ちされた歴史小説や、犯罪心理小説で脚光をあびている。フランス政府観光局名誉委員、アカデミー・ドゥ・カスレ名誉会員、フランス・ナポレオン史研究学会会員
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
吉田あや
60
純真なる心で放蕩の夫サドに従ってきたルネ夫人。その夫人がある時なぜサドを一切拒み離婚へと向かったのか、謎だらけのその背景を新たなる解釈で追っていく心理サスペンス仕立ての本作。「侯爵サド」でサドが誹謗を重ねたルネの老獪なる母・モントルイユ夫人も登場し、サド侯爵側の話では知り得なかった人間模様や心情を2冊でひとつの表裏として見ることができる。幼少期は母、その後は夫に精神を支配されたルネの人生は辛いが、ルネが母としてはどうだったのか、晩年は…と更なる興味が湧いた。2023/04/28
つきみ
10
サド侯爵も妻ルネも、その母モントルイユ夫人も、それぞれの言動が心理学的に解き明かされている点が興味深い。「サド侯爵」に登場したクルミエが師と仰ぐ人物が、今作ピネルなのも面白い。それにしても母親の影響力には改めて驚く。身が引き締まる思い…2012/06/04
寝落ち6段
4
暴戻のサド侯爵の婦人・ルネ。夫が放蕩する間も、自分が愛を捧げていけば必ず落ち着くだろうと思っている。だからこそ、どんな状況に陥ろうともそれを曲げなかった。傍から見れば、そんなルネは気が狂っているとしか思えない。信じ抜く愛といえば聞こえはいいが、明らかに盲目である。それが本人には分からない。盲信する原因は何だろうか。そこには歪な母子愛と藻掻きがあった。読んでいて、自分も盲信していることがあるのではないかと考えた。盲信は誰にでもあるかもしれない。2019/08/14
七鵺
3
ルネ本人の視点も読んでみたかった。2017/03/24
もももん
2
作者さんの作品が好きなのでいくつかよんでいるけど、これも面白かった。テーマ的に暴行シーンが多かったら嫌だなぁと思いながら読み進めたけどそんなこともなく一気に読み終ることができた。個人的にはこの後のルネとまわりの人物を含めた展開が気になった。とりあえず主人公のかけひきの描写はドキドキで面白かった。2017/02/13
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