内容説明
女子プロレス界きっての強者・火渡抄子。人は彼女を「ファイアボール」と呼ぶ。火渡に憧れ入門し、付き人になった近田。仲の良かった同期・与謝野の活躍を前に、自分の限界が頭をかすめる。そんな折、火渡が付き人を替えると言い出した。近田は、自分にどうケジメをつけるのか。女の荒ぶる魂を描いたシリーズ完結篇となる連作短篇集。
著者等紹介
桐野夏生[キリノナツオ]
昭和26(1951)年、金沢生れ。成蹊大学法学部卒。会社員を経て、平成5年、女探偵村野ミロが主人公の「顔に降りかかる雨」で第39回江戸川乱歩賞受賞。平成10年、「OUT」で日本推理作家協会賞、平成11年、「柔らかな頬」で直木賞受賞
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ehirano1
77
「・・・お前、こっそりじゃなくて、こう言えよ。ここだけの内緒の話だから誰にも言うな、と。そしたら、絶対にすぐ広まるから(p191)」。これには思わず膝を打って笑ってしまいました。確かにそうですよね。「誰にも言うな」っていう話は絶対広まりますよね(www)。2021/09/12
ehirano1
67
ファイアボール・ブルースの続編があるとは何とも嬉しい限りです。桐野さんの真骨頂である人間関係と葛藤についての心臓鷲掴み系がソフトに描かれていました。エンディングも良かったと思いました。今度は男子マット界についても書いていただけないかなぁ・・・。2018/09/15
Yuna Ioki☆
45
1109-312-9 前作に続いて桐野夏生氏っぽくない感じ。人生諦めることも大事なのよね(笑)2015/08/06
コロチャイ
24
ブルース2は近田の人間性を描いています。この世界は同じ土俵に生きていなければ、言葉が意味を持たないこと、厳しい世界です。本当にブライドがないと、生きてはいけない世界ですね。どの仕事の世界でも言える「ブロフェッショナル」ですね。 桐野先生、女子プロの生態をどこまでも深く深く内面を掘り下げている。これどんだけー取材しているの。もう密着以外あり得ないね。2023/07/22
Katsuto Yoshinaga
18
孤高のレスラー火渡が際立った格闘小説であり、ミステリー仕立ての前作から、今作は火渡の付き人近田メインで、女子プロレスラーの日常が描かれている。格闘に没入する女性たちを描いているように一瞬思わせられるが、どんどんズラされていく。極め付きは「一心不乱の人間て、余裕がない感じがして全く好きになれないね。だからさ、あんた、このままでいいんじゃないの」と、ドラァグクイーンを演じる女性が、本作をひっくり返すような台詞を吐く。それでいて、あとがきは本作主人公の近田の独白で、ちょっと泣かされる。良い小説だわぁ。2021/02/04