文春文庫<br> 水の眠り 灰の夢

文春文庫
水の眠り 灰の夢

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  • サイズ 文庫判/ページ数 475p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784167602024
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

出版社内容情報

昭和38年、東京。連続爆弾魔を追う村野に女子高生殺しの嫌疑が。親友の恋人への思慕を胸に真実に迫る、孤独なトップ屋の魂の遍歴

内容説明

昭和38年9月、地下鉄爆破に遭遇した週刊誌記者・村野は連続爆弾魔・草加次郎事件を取材するうちに、一人の女子高生の殺人事件の容疑者に。東京オリンピック前夜の高度成長期を駆け抜ける激動の東京を舞台に、村野の執念が追いつめたおぞましい真実とは。孤独なトップ屋の魂の遍歴を描く傑作ミステリー。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

384
1963年当時の世相を濃厚に反映させた作品。とは言っても桐野夏生氏は1951年生まれであるから、小説は様々な資料を基にした彼女の想像力のたまもの。小説中でもそうだが、トップ屋の最後の世代を描いている。そして、それはそのまま焼跡闇市の戦後の終わりでもあったのである。私自身もその世代ではないが、代々木のオリンピックスタジアムが、今まさに建造されつつあり、映画館には「シベールの日曜日」がかかり、ルノーが走っている銀座。ノスタルジックな気分に浸れる小説だ。過去を疾走する日本版ハードボイルドとでもいうべきか。 2017/10/27

ehirano1

108
「顔に降りかかる雨」でミロの父“村善”について興味が涌き本書へ。“村善”の若かりし頃の物語は期待どおりのハードボイルドでした。赤ちゃんのミロ登場には思わずおおっ!となり(笑)、村善と早重さんの今後に興味津々です。2018/07/07

優希

98
面白かったです。ハードボイルドの格好良さと静謐な筆致に引き込まれました。東京オリンピックの熱気を孕んだ空気と共に草加事件と女子高生殺しが絡み、歪んだ世界を生み出しているのが印象的でした。村野が真実を炙り出そうと奔走する様子は孤高の記者の魂を見ているようです。昭和30年代の東京の空気も感じられる傑作ミステリーだと思いました。2017/08/05

ehirano1

73
「・・・ファンというのは裏切らなければ酷いことはしないものだ。そこにあるのは愛と憎しみなんだ。愛が裏切られれば容易に憎しみに転化する・・・(p128)」。分かり易い表裏一体だと思いました。愛って難しいかもしれません・・・・・。2020/12/19

キムチ27

70
主人公は村善、ミロの義父。古い記憶を呼び起こしての作品。舞台は東京、五輪で喧騒漂う時間。彼のもとに転送され届いた法事の葉書、現役時代の苦くひりつく傷が蠢く。筆者が乱歩賞受賞して間なしの作品、流石の骨太な味わい。村善を初めとしての人物造影がいい。後藤、対立しつつも中身の濃い市川、気持ちが幾重にも重なる早重、タキと絡みつくその家族の複層。草加次郎という虚構のキャラを軸に𠮷永小百合脅迫事件も絡めて「あの時間」が再現される・・そして着地も霞んでなくズトンと。個人的に殆ど知らない高度経済成長期の一こまは面白かった2022/11/27

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