内容説明
40歳で突然のがん告知。入院、手術を経て、死への恐怖に襲われたのは退院直後。心と体のバランスをとりながら、再発の不安を抱えての生活が始まった。食事療法や漢方に取り組み、サポートグループに参加。不確かな日々の中で、人間としての主体性を決してがんに譲るまいとする著者の、心打つ静謐な記録。
目次
兆しは、あのときから(一年前の異変;中断された検査 ほか)
がん患者となって(仕事をどうする?;なぜ、という問い ほか)
初めての入院生活(自分にとっての「よい病院」;入院生活はこんなふう ほか)
四年を生きて(「病は気から」は真実か;心をよりよく保つために ほか)〔ほか〕
著者等紹介
岸本葉子[キシモトヨウコ]
エッセイスト。1961年神奈川県生まれ。大学卒業後、保険会社に勤務したあと、北京外国語学院留学生として中国滞在。2003年に自らのがん闘病を綴った『がんから始まる』は大きな反響を呼び話題になった(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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あかは
56
単行本で読了。半分くらいまでは読むのが辛くて辛くてなかなか進まなかったが、後半は一転して引きずられるようにして夢中で読んだ。力強い終わり方だった。岸本さんの文章はとても読みやすい。他の本も是非読みたい。2020/04/23
katoyann
26
40歳で癌を患った筆者による治療のエッセイ。「闘病」という具合に肩肘張ったものとしてイメージされる癌との付き合い方を淡々と描いている。筆者の性格もあるのだろうが、気持ちの落ち着け方に工夫していたようで、読んでいる方も不思議と安心できるような気持ちになった。 父を癌で亡くしているので、他人事ではなく、気をつけていきたいと思うが、癌になったときにメンタルを保つ秘訣を教わったように感じた。2021/01/16
Keystone
14
この後に出版された買い物シリーズを先に読んでお元気なことを知っているので、安心して読めました。この本の中の岸本さんに「5年後以降もお元気ですよ」と教えてあげたいと思いながら読みました。がんになるのは明るい性格や、ストレス、遺伝とは関係ないんだなあと思いました。気をつけないと。2015/11/08
uniemo
12
岸本さんの本はかなり前に軽めのエッセイを読んで以来です。本作はがんの告知を受けてしまってから、自分の病気に真摯に向かう姿をとても冷静な目で描いています。著者が理知的な方というのは雑誌やテレビで感じていたのですが、自分の葛藤をとても丁寧に分析されているのに驚きました。著者はこの後10年以上たった今もお元気で活躍されているのを知っているので安心して読めました。2020/06/24
cithara
10
著者のバイタリティに感嘆。自分の病気について徹底的に追求する姿勢は私も学ばなければ。元がん患者だった私は現実から逃げていた。生存率とか今後のQOLのことを考えただけで頭が痛くなるからだった。多くのがん患者は私と同じような姿勢であると思う。著者は「私がもっともしたくないのは、人事を尽くさなかったという後悔なのだ」と言うが、それだけでここまで自分の病気や食餌療法を追求できるものだろうか? 物書きとしての執念か? 著者は万人に効く「処方箋」などないのだと言う。まだ健全な生活を夢見ている私に喝を入れる言葉だ。2014/10/25