内容説明
昭和七年、士族出身の上流家庭・花村家にやってきた女性運転手別宮みつ子。令嬢の英子はサッカレーの『虚栄の市』のヒロインにちなみ、彼女をベッキーさんと呼ぶ。新聞に載った変死事件の謎を解く「虚栄の市」、英子の兄を悩ませる暗号の謎「銀座八丁」、映写会上映中の同席者の死を推理する「街の灯」の三篇を収録。
著者等紹介
北村薫[キタムラカオル]
昭和24(1949)年、埼玉県生れ。早稲田大学第一文学部卒業。大学在学中はミステリ・クラブに所属。高校で教鞭を執りながら、昭和59年、創元推理文庫版日本探偵小説全集を編集部と共同編集。平成元(1989)年、「空飛ぶ馬」でデビュー。平成3年、「夜の蝉」で日本推理作家協会賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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乱読太郎の積んでる本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
射手座の天使あきちゃん
231
しなやかに抜く手も見せず剣を扱い、銃は狙いをあやまたず、柔よく剛を制す! な〜んてね、颯爽ベッキーさん カッコ良過ぎですぅ、好きぃ!!(笑) 英子さんも、甘えて父上を転がしたり、ちょっと「はすっぱ」に啖呵を切ったり、可愛い「したたかさ」に思わずニヤリ 時代背景にピタリとハマったお話に満足度maxですよん♪2011/04/29
修一朗
197
端正で気品があって上質な文章を堪能した。時代考証はしっかり、歴史背景までもいつの間にか学べちゃう。昭和7年という暗い時代でも陰鬱さもなく、上流社会も描写にも嫌味がない。少女の心理描写が秀逸。少女特有の傲慢さとか差別意識の表現など、さすが元国語の先生。べッキーと英子、確かにホームズとワトソンじゃない。ベッキーさんは気付きのきっかけだけ。ベッキーさんは何者なのか、は次作以降なのだろう。しかし,読んでいると別宮さん→タレントさんのベッキーさんに勝手に脳内変換されてしまう…困っているわけではないので今はいいけど…2014/08/07
遥かなる想い
190
ミステリーにしては軽快に読めるが、いまいち 心に残らない。ベッキーさんを軸にした3部作は評判よいようだが、私の趣味にはあわないようだ。2010/05/07
kishikan
188
昭和初期にあって、大富豪のご令嬢でミドルティーンの花村英子さんと、花村家抱えの謎の女性運転手、ベッキーさん(本当は別宮)が、二人して様々な事件の謎を解くというシリーズものの第1作。僕は2作目の「玻璃の天」を最初に読んでしまったので、この作品でベッキーさんが花村家に来たきっかけを知ったわけだけど、別に読む順番はあまり関係ないかも・・。それよりなにより、昭和初期の帝都東京の街の様子や社会の矛盾、そしてミステリの醍醐味をその卓越した文章力で描き出す北村さんには脱帽!収められたタイトル作他3篇とも素晴らしい。2011/07/10
ひさか
187
別冊文藝春秋2002年1月号:虚栄の市、5,7月号:銀座八丁、9,11月号:街の灯の3つの連作短編を2003年1月文藝春秋から刊行。2006年5月文春文庫化。ベッキーさんシリーズ1作目。コージーミステリー。昭和初期の上流階級と東京が舞台なのが面白い。大大名のお家柄なんていうフレーズがポンポン出て来るのも、興味深い。桐原家の長男の無理から、ベッキーさんを護るお嬢様の英子の態度が、格好いい。2018/07/30